主宰者(指揮者)ご挨拶


教員である私は夏休みが終わって「さあ、2学期ももうひとがんばり」 と夏呆けした頭と体に活を入れているところですが、スコラ・カントールム も恒例の「夏休み」を終えて、「栃木[蔵の街]音楽祭」に向けての練習に 入りました。昨年は、この音楽祭の招待演奏会にお招きいただくという 大きな出来事がありました。秋の好天の中、ゆっくりと暮れていく柔らかな 日差しの中で大変に気持ちよく演奏させていただいたことを昨日のように 思い出します。あれから一年、今回のトマス・タリス作曲《エレミアの哀歌》 も、何とか栃木の皆様に喜んでいただけるよう、最後の調整に励みたいと 思います。《エレミアの哀歌》は伝統的な対位法によりながらも、歌詞が はっきりと聞き取れるように工夫され、かつ要所要所にイギリスの伝統 でもある鋭い不協和音を織り込んでおり、聴く人の耳を飽きさせません。 単純である分、演奏者には極度に純正な音程を決める能力と豊かな フレ−ズ感が求められ、誤魔化しが全く効きません。現在のところ「悪戦 苦闘中」というのが正直なところですが、相手にとって不足はなし、小手先の 技術でそれらしく聴かせるよりも、おおらかに、正攻法で歌っていくことに よって、タリスの緊張感と詩情相溢れる独自の世界をご披露できれば、 と思います。首都圏にお住まいの方、10月9日はもしお時間があり ましたら、情緒に満ちた蔵の街・栃木にどうぞ足をお運びください。 では当ホームページをごゆっくりお楽しみください。


1999年9月
スコラ・カントールム代表
野中  裕


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