主宰者(指揮者)ご挨拶


20世紀があと1ヶ月で終わります。各種メディアでこの世紀を総括する企画 が花盛りですが、私としては、時代の評価はやはり後世にお任せして現在 出来ることを着実に遂行して行こう、などと考えています。人間はいかに経 験を積んだとしても、自分に身近で思い入れのあるものに対して完全に客 観的になれるとは思えないのです。この時代に対しては、極めて楽観的で 肯定的な評価を下す人は稀です。ことさら自虐的な評価を下す論のほうを よく見かけますが、ひょっとしたらそれも現代という時代への限りない愛惜 の気持ちから発したものではないかと思いますし、またそうあって欲しい、 という気がします。私は確かに20世紀の後半が始まって16年後に生を受け、 80年代のバブル経済のただ中に青春を過ごし、90年代の厳しい経済状況 の中、スコラ・カントールムとともに歩んできました。これは消しようのない 事実で、私はそこで起きたひとつひとつの出来事に限りない愛着を持ってい ます。合唱団の運営者として、私も自分と自分の周囲を客観的に判断してい く視点を失わないように心がけております。しかし、人の情というものは完全 に抑制できるものではなく、またそれゆえに人間は人間らしいと言えるのか もしれません。とにかく、私は今までの活動と、共に歌ってくれた仲間たち、 そして拙い演奏に足を運んでいただいた方々、陰に日に私たちを支えてくれ た人たちを誇りに思っております。改めて考えますと、現在の当団は10年前 とは比較にならぬほどの規模になりました。それは団員数・演奏機会・演奏 する曲の幅などの全てにおいてです。団員内での音楽的嗜好の違い、大人 数化に伴う、細かい意味での音楽レヴェル維持の問題、大きな演奏会を開く ことによる財政的問題など解決が難しい問題は山積みのまま、私たちは新し い年を迎えます。それでも私は過去を誇りに思い、肯定的にとらえ、しかし反 省の視点を絶やすことなく進んでいきたいと願っているのです。甘いと言われ ればそれで終わりですが、それが今の私の正直な気持ちです。この10年、 本当にありがとうございました。新たな世紀も、ご支援をよろしくお願い申し 上げます。 なお今回の更新では、2001年3月24日(土)に武蔵野市民文化会館小ホール で行われます、私たちの第10回定期演奏会の詳細なご案内もアップしてあり ます。どうぞご覧の上、皆様でお出かけください。それでは当ホームページを ごゆっくりお楽しみください。

2000年12月1日
スコラ・カントールム代表
野中 裕


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