主宰者(指揮者)ご挨拶


外はすでに秋の色を濃くしております。最近私の周囲では風邪が大変にはやっており、団員の中にもかなり苦しんでいる者が出ております。かく申す私も先週あたりからいまひとつ体調がすぐれない状態が続いて難儀しています。皆様もどうぞ健康には十分ご留意ください。

さて本日は久々の更新となりました。特別のお知らせでも申し述べましたように、ホームページ作成用に使用しているパソコンが不具合となり、修理に出していたためです。どのような症状かというと、起動するたびに本体の記憶している日付が、どういうわけか1996年1月1日午前0時にリセットされてしまうのです。購入した電気店に持っていったのですが、予想通りその場では原因がわからず、そのまま修理に回しました。しかし実は本体故障でも内部の電池切れでもなく、「デフォルトの設定」が狂っていただけのことでした。この症状は、コンピュータが作動している状態でアダプタやバッテリを抜いて強制終了した時に起こり得るのだそうです。そういえば一度フリーズしてしまった時にバッテリを引っこ抜いたことがあるのですが、どうやらそれが原因とみて間違いないでしょう。ですからわざわざ修理に出す必要はなかったらしいのですが、ともかくも、保証の効いている期間に無事直って戻ってきたのは幸いでした。

職場でも家庭でも、私を含めてほとんどの人たちがコンピュータのお世話にならずには片時も暮らしていけない世の中になっています。私は毎朝職場に行くと、まず窓を開けて空気を入れ換え、やかんでお湯を沸かし、そのあとでやっとコンピュータの電源を入れるわけですが、同僚にはこの順番が逆の人もいます。一体世界中でどれだけの数のコンピュータが使われ、どれだけの電気量が消費されているのか想像もできません。コンピュータも機械なのですから、というより精密機械であるかゆえに故障は付き物なのは十分理解しているのですが、こうして何日間も使えなくなってしまってはじめて、いかに自分が日頃コンピュータなしでは何もできないような状況に置かれているかが痛感されます。

私はここで別に「コンピュータに逆管理された人間の悲哀」などというようなことを語ろうとしているのではありません。そうではなくて、日常あまりにも当たり前に使っているものが突然機能しなくなったとき、人間というのは改めて己の小ささを実感するなという、今までにも言い古されてきた単純な感慨です。コンピュータもそうですが、例えばオーディオ装置、冷蔵庫、洗濯機などの電化製品が皆無の生活というのは、私には全く考えも及ばない世界です。特に、音楽が聴けない・演奏できない状況に追い込まれた自分を想像するのは不可能だし、恐怖ですらあります。しかしこのホームページを更新できずにいる間に、世界の情勢は刻々と変わりつつあります。音楽を単なる娯楽とみなし、演奏家が、そして芸術そのものが政治の世界に飲み込まれ、さまざまな制約が課されるよう時代が訪れるのかもしれません。とにかく今は平和のうちに、音楽活動を行い、演奏会を開くことのできる環境に自分たちがいることに感謝し、その恵まれた状況を無駄にしないよう、日々の練習と演奏会を充実させることが肝要であろうと考えています。

自分のコンピュータの故障の話から、少し話が飛躍してしまいました。12月16日の第3回特別演奏会「クリスマス・コンサート」まで2ヶ月を切りました。日々音楽ができることに感謝しつつ、真摯に練習を積み重ねたいと思います。チケットのお申し込みも、このホームページ上で受け付けております。どうぞ皆様お誘い合わせの上おいでくださいますよう、お願いいたします。それでは、当ホームページをごゆっくりお楽しみください。

2001年10月23日
スコラ・カントールム代表
野中  裕


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