主宰者(指揮者)ご挨拶


皆様、合唱団スコラ・カントールムのホームページにようこそおいでくださいました。あっという間に師走を迎え、私は教員としての仕事と、間近に迫った第3回特別演奏会の準備で、文字通り息つく暇もない日々を送っております。昔はこのくらいの無理は平気でしていたのだが、どうもこのところ思うように体が動かない、加齢とともに体力の衰えを感じるものだとの実感を強くします。ホームページの更新もなかなか思うに任せない状況が続いて、皆様にご迷惑をお掛けしております。しかし嘆いていても日々は矢のように過ぎ行き、演奏会はもうすぐ目の前です。くじけそうになる心に鞭打って、必ずやおいでいただいた方にご満足いただける演奏会にしようと、決意を新たにしております。

私が忙しさを感じるのは、この9月以来「東響コーラス」にお世話になっていることが大きいと思います。「東響コーラス」は東京交響楽団の兄弟的存在の合唱団で、オーケストラとともにさまざまな大曲・名曲を取り上げてきたアマチュア合唱団です。アマチュアとはいっても入団時にはオーディションが課されるほか、各公演ごとのオーディションも行われ、それに合格しないと出演できないという厳しい合唱団です。先にこの合唱団に入っていた当団のソプラノ、大貫由香に誘われた私は、11月に行われたマーラー「千人の交響曲」からお世話になることになりました。平日の仕事を終えた後に駆けつけ、2時間の練習を終えて家に帰ると22時を回りますから、きつい日課であることは間違いありません。しかし、この合唱団に入れていただいたおかげで、今まで忘れ去っていた「歌う喜び」を再び取り戻すことができたのは大変に嬉しい出来事でした。スコラ・カントールムでは、指揮者に専念してもう10年近くになってしまいます。その間、いろいろな場所で少しずつ歌う機会はあったにせよ、これほど本格的に歌う時間を得たのは久しぶりのことです。最近とみに歌うときの音程が怪しくなり、発声も衰えてきていた自覚のあった私がどこまでついていけるのか半信半疑でしたが、優秀な団員の皆さんに囲まれて、とても楽しく歌わせていただいています。

「東響コーラス」に入団したことによって、私はもういちど、歌うという行為の原点の楽しさを教えてもらったような気がします。実はこのところ、練習の運営がいまひとつ団員の求めるものと乖離しているのではないかと感じており、また事実そのような指摘もなされていた最中でしたので、タイミングとしては大変恵まれていたようです。私の練習は、ある団員の言葉を借りれば「あまりに聴衆を意識しすぎで、歌う側の楽しさを考慮していない」という一面を持ちながら「音程から歌詞の付け方まで、あまりに面倒を見すぎていて、団員に危機感を植え付けるに至っていない」という欠点を持つものでした。そうした中で、「歌う側」として厳しい練習とオーディションに参加したことは、私の意識に少なからぬ影響と、実際的なヒントを与えてくれたようです。今回の演奏会が少しでも皆様に楽しんでいただけるものになるとすれば、それは指揮者に対して遠慮なく意見をぶつける団員たちの高い意識と、「東響コーラス」での私の体験が大きな要因でしょう。そして、是非そのような充実した演奏会にしなければ、と考えています。

当日は「東響コーラス」の団員の方々もおいでいただけるようです。また大学時代の合唱団「早稲田大学・日本女子大学室内合唱団」からは、後輩諸君をはじめ、新旧の常任指揮者にも聴いていただけると伺っています。私にかけがえのない力を与えてくださるこれらの人々に感謝し、ご満足いただけるような音楽を創りたいと思います。演奏会までわずかとなりましたが、そのわずかな時間でもぎりぎりまで粘って、まだまだ勉強するつもりです。どうぞ皆様、16日にはお誘い合わせのうえ、護国寺・同仁キリスト教会に足をお運びください。当日お会いできることを楽しみにしております。それではそれまでの間、当ホームページをごゆっくりお楽しみください。


2001年12月10日
スコラ・カントールム代表
野中  裕


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