皆様、合唱団スコラ・カントールムのホームページにようこそおいでくださいました。7月を目前にしておりますが、私は職業上「もう少しで一区切り」という感慨がわいてきます。とはいうものの「夏休み」は生徒のためにあるもので、教員はそうそう休んではいられないのですが。職場が変わって新しい環境に慣れるのに精一杯だった3ヶ月が、もうまもなく終わります。年齢のせいでしょうか、最近は帰宅するとただ疲れてしまって音楽の勉強をする間もなく寝てしまう、という日が多くありました。これではいけない、と思うのですが、悲しいことに体に無理の効かない時期に差し掛かったようです。そんなわけで、前期の練習は充実していたのか、団員に何らか音楽的な満足を与えられていたのか、という点については反省しなければならない点が多々あります。合唱団の練習を計画し実施していくというのは、経験のある方ならおわかりの通り、様々な困難がつきまといます。あまりに練習への出席を強いて団員の生活パターンを乱すような計画では、メンバーの定着率が悪くなり、練れたアンサンブルの実現は難しくなります。かといって極端に練習間隔があいたり、出席率がひどいようですと常設の団体としての意義を失い、活動が停滞します。これに加えて、団員は普段の練習から少しでも音楽的向上を感じ取ることが楽しみなのですから、それを考慮しなければなりません。演奏会は確かに大きな目標ですが、それさえうまくいけば合唱団が安泰だというわけにはまいりません。前期は、私が自分の新しい生活パターンを確立しながら練習の準備を模索して行かねばならず、団員のほうもやや出席常ならざる者多し、といったところで、お互い反省すべき点は素直に反省して後期に備えていきたいと思います。
この間、世間では色々な事件がありました。特に同職の者として心から恐怖を覚えたのが、例の小学校児童殺傷事件です。遺族の方や、突然の暴漢の侵入という予期し得ない事態を目の前にした先生方の怒りと悲しみは、とても私たちの考えられるところではありません。このような殺伐とした世の中で呑気に音楽などやっていてよいのか、という自虐的な疑問も時には湧きます。昨年末だったと思うのですが、高校生のカップルが金ほしさから平然とタクシーの運転手を殺害した事件が起きたときも、私は暗澹たる思いで「音楽が情操教育の糧となる、といったような楽観的な見方は絶望的だ」と書き記した覚えがあります。今回の犯人がもしバッハの音楽に癒しを覚える人間だったら、こんな酷い事件は引き起こさなかっただろう、などということもありえないでしょう。確実なのは、デカルト的に言えば「音楽を愛するが故に、私は在る」ということです。私たちの奏でた音楽が、結果として何らか人の心を満たすことをただ祈るばかりです。
少し重い話になりましたが、今年のスコラ・カントールムはこうした雰囲気を吹き飛ばす、明るくホットな特別演奏会を企画いたしました。12月16日に行われる「クリスマス・コンサート」です。詳しい情報を「コンサートのお知らせ・今後の活動予定など」のコーナーにアップいたしました。今回もおなじみのヴィオラ・ダ・ガンバ奏者、福沢宏さんを客演にお迎えするほか、バッハ・コレギウム・ジャパンで活躍中のオルガニスト、今井奈緒子さんが共演してくださいます。今回も充実したステージとすべく、団員一同気持ちも新たに頑張ります。それでは、当ホームページをごゆっくりお楽しみください。