主宰者(指揮者)ご挨拶


皆様、合唱団スコラ・カントールムのホームページにようこそお越しくださいました。前回の更新からすでに半月以上経ってしまいました。いつもこのページを訪ねてくださる皆様には、お詫びのしようもありません。毎度のことながら多忙が原因ではありますが、忙しさの中で考えさせられることはいろいろあります。

もちろん忙しいのは、まず本業ということになります。すでに1月末に推薦入試が終了し、これから学力試験による入試が続いていくのですが、これは学校全体で取り組む大行事です。学校としてはこの4月から一緒に生活していく仲間たちを選抜しなければならず、生徒にとってみれば人生における大きな選択と試練の場となるわけですから、私としては大いに気が引き締まるところです。昨今、いくつかの大学で入学試験の合格者決定におけるミスが続発し、追加合格を決めざるを得なかった学校や、果てはそうしたミスを隠蔽していた事例が報道されたのは記憶に新しいところですので、さらに一段と慎重にならざるを得ません。最近は入試業務と限らず、学校の統計処理のほぼすべてはコンピュータによって自動化されています。しかし機械というものは、「人間の命令どおり動くもの」です。人間の命令が複雑になればなるほど、プログラミングは難解となり、ミスも起こりやすくなってきます。実感されている方も多いでしょうが、特に表計算ソフトにおいて、範囲指定して切り取ったり、コピーを行ったり、並べ替えを行うような作業はミスの温床とも称すべきものです。これが複雑に絡み合ったプログラムを組む場合、命令する側の人間の能力、慎重さが最大限に要求されます。

報道された個々の大学のプログラミングがどうだったのかなど私には知る由もありませんが、相当複雑きわまりないものであることは、容易に想像できます。少子化によって、どの大学も学生を確保するため「傾斜配点」「3科目のうち得点上位2科目のみで選考」「得意科目重点配点」「センター入試参加」「試験日自由選択制」など、レストランのメニューのようにバラエティーに富んだ試験を用意せざるを得ない状況が続いています。試験の複雑化は、プログラミング・ミスの誘発を招く最大の原因です。入学試験は、いかにその担当者に過酷な負担を強いようとも「完璧にできて当たり前、ほんのごくわずかなミスがあっても大問題」なわけですから、皆に敬遠され、引き受け手はどこでも減少しているのではないかと推察します。

ミスのあった大学を責め、他校の担当者に「こうしたミスが二度と起こらないようにせよ」と命令するのはたやすいことです。でも根本的な問題は、少子化時代に対応する選抜方式がどのような在り方であるべきか、ということなのではないでしょうか。少ないパイをハイエナのように取り合い、そのために無理な作業を行ってミスを誘発する、というのは、仕事をする側にとっても、入学する生徒にとっても、あまりに不幸な事態であると思います。現在のようにコンピュータが発達していなかった時代、このように様々な選抜方法が採られていなかった時代、先輩たちはどうやって「人を選抜する」という、いつの時代にも困難な仕事を遂行してきたのかを、謙虚に問い直してみることも必要なのではないでしょうか。

さて合唱の世界に目を転じても、「メンバーを選抜する」ことの難しさは同じです。100人から200人といった大規模な合唱団であるならば、とにかく厳正なオーディションを行って、歌唱に関して実力のある人をしっかりと見極めていくという方法がとれるでしょう。しかしながら当団のような30人規模(本来は25人程度が好ましいと考えている)の合唱団では、そうした少人数でポリフォニー音楽を創るに相応しい声質、声量、そして団の和を崩さない人柄(特に熱意)を持った方を選ばなくてはなりません。当団の団員補充は、ほぼ現団員の紹介や口コミによって行われてきました。それは「その人本人をよく知っている」という、何事にも代え難いメリットがあるからです。ところが最近、このホームページをご覧いただいて「現在団員の募集は行っていないのか」というお問い合わせを多くいただくようになりました。インターネット・メディアの威力を感じるとともに、お申し出はまことにありがたいことで、団員一同感謝しております。現在積極的な団員募集は行っていない状況ですが、練習見学は常時受け付けております。何回か練習を見ていただき、歌っていただいた上で、上記の条件を満たした方は団員としてお迎えする可能性があります。私たちは、歌の実力もそうですが、「ひとりの声でなく、仲間を尊重し、仲間と力を合わせ、音楽に関する意見は腹蔵なく出し合って、常により感動的な音楽を目指す」姿勢のある方と一緒に歌えることを熱望しております。

3月30日の第11回定期演奏会のご案内、チケット発行の準備も整いました。この演奏会、そして長期的に見たスコラ・カントールムの活動に、倍旧のご理解とご支援をお願いいたします。それでは当ホームページをごゆっくりお楽しみください。


2002年2月9日
スコラ・カントールム代表
野中  裕


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