主宰者(指揮者)ご挨拶


梅雨のぐずついた天気が続いています。皆様お元気でお過ごしでしょうか。勤務先の高校では、来週から期末考査が始まります。2003年度の四分の一をあっという間に通り抜けてしまったことに気づかされて愕然とするのですが、まずはその締めくくりをしっかりと行いたいと思います。

締めくくりといえば、今年度スコラ・カントールムでは7月最後の練習日に「団員総会」を行うことになりました。これは団員からの強い要望で決定したものです。10名ほどで発足した当時は、団の運営も手探り状態、話し合いは皆で顔をつきあわせて家族会議的に行ってきました。しかし創立14年を迎えて、団員は常時30名程度を抱え、1年に2ないし3回の演奏会を行うことも多くなりました。このあたりで団の在り方を根本的に考え直そうという声が団員の中からあがり、ともかくも団員総会のようなものを開いて、今後の活動などを考えていこうということになったのです。主宰者ひとりでの運営が不可能となった今、意識を持った団員が支えてくれることは大きな喜びです。

練習も、今年度のメニューの四分の一を消化してしまいました。今年は定期演奏会のプログラムが異例とも言うほど早期に、スムーズに決まったので、譜読みは順調に進みました。現在は10月に行われる「栃木[蔵の街]音楽祭」に向けて、「教皇マルチェルスのミサ」にひたすら慣れていく、といった状態です。振り返ってみて、やはり社会人主体の合唱団はある程度余裕を持った活動が好ましい、という実感を強くしています。今年度は何人かのメンバーが都合で休団ないし退団したため、その穴を埋めながら全体の底上げを図る、という大変な状況です。その点、無理をしない計画を立てたことが今さらながらラッキーであったと思います。またそれに合わせて新しいメンバーも何人か迎えることが出来ました。新しいトーンをブレンドしながら、今まで培ってきた「スコラ・カントールムの音」をさらに発展させていきたいと思います。

ところで、世の中を取り巻く状況はひたすら厳しいものがあります。改革の名の下に、あらゆるところで過剰な競争主義と実績主義が叫ばれています。人間、競争心と向上心を持たなければ成長はあり得ませんし、実績を上げればそれが自信となり、信頼となるのも間違いありません。しかし、それだけで人の世は進むものではありません。私たちの活動も同じです。スコラ・カントールムは、向上心を失ったら存在意義はないのだと思います。しかし過剰な競争心に駆られて自分を見失うことも避けなければなりません。今年度は、余裕を持ち、じっくりと自分たちを見つめ直すチャンスです。そんなふうに考えて、長い1年間を走っていきたいと思います。今後とも、ご支援をよろしくお願い申し上げます。


2003年6月28日
スコラ・カントールム代表
野中  裕


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