主宰者(指揮者)ご挨拶


前回更新から、1ヶ月以上が経ちました。相変わらず、忙しさにかまけて更新をさぼっていたのだろうとお考えの方が多かろうと思います。もちろんそれもありますが、意識的に更新を避けねばならない理由もあったのです。その理由を端的に申し上げますと、私がこの8月いっぱいまで休養させていただくことになったため、このホームページも更新を一時中止しなければならなくなり、その処置をどうするか、団員総会が終わるまで様子を見ていたからです。一向に更新されない当ホームページに業を煮やしていた方には、平にご寛恕を乞う次第です。

なぜ私が休養するかについて、私事にわたりますがご説明しておきます。今年の2月のある朝、私は出勤時の駅のホームで急に右耳に耳鳴りを覚えました。いつもの一過性の耳鳴りと違い、金属音がいつまでも鳴りやみません。そのうち、金属音は「シャーッ」という鈍い雑音に変わりました。疲れているのかな、と思いながらとにかく授業だけは行ったのですが、右耳には他人の耳を取って付けたかのような違和感があり、生徒の声もよく聞き取れません。事情を聞いた英語科のある先生が、それは突発性難聴に違いない、以前英語科にいた先生で同じような症状を訴えた人がいる。一刻も早く病院に行かないと、取り返しのつかないことになりますよ、と教えてくれました。

放課後、早速耳鼻科に行きました。英語の先生の見立てどおり、ストレスによる突発性難聴と診断されました。右耳の聴力は相当下がっており、点滴を打って絶対安静を言い渡されてしまったのです。しばらくは仕事を休むこと、音楽は絶対に聴かないこと、ましてや歌ったりしてはならないこと、入院しなければ一生耳鳴りが残るかもしれない、と言われ、これは一体どうしたものか、定期演奏会に間に合うのだろうか、と思いましたが、治さないことには仕方ありません。

幸い入院は免れました。長期間仕事を休むことだけはどうしてもできないので、音楽とは当分の間縁を切ることにし、スコラ・カントールムの練習も団員に代わってもらいました。そんなふうに割り切ったのがよかったのでしょうか、病状は劇的に回復し、3日後に耳鳴りは完全に止み、2週間後には体力の復活も実感できるようになりました。その後症状の再発もなく、演奏会も無事に終了して現在に至っています。本当にありがたいことです。

しかし油断は禁物です。年齢のせいでしょうか、仕事は増え続けています。加えて最近の東京都の教育改革は提出すべき書類と負うべき責任を激増させ、校務に忙殺されるばかりの毎日が続いています。そんな中で、体力不足と難聴の再発に不安を感じながら恐る恐る音楽に接し、勉強不足のまま団を運営していたのでは、私自身が納得いかないのみならず、団員の不信を招き、応援してくださる皆様を裏切ることになる、と判断致しました。そこで、この半年ばかりは完全にスコラ・カントールムの活動から離れ、じっくりと充電させていただくことになりました。音楽をまるで捨ててしまうのはあまりに危険ですので、青木洋也さんの指揮する合唱団「エルヴィオ・ソーヌス」で楽しく歌わせていただきながら、回復を待つことにします。

休養に伴い、このホームページの運営もしばらくお休みすることになります。急なことで皆様には大変ご迷惑をお掛けしますが、8月31日まで、当ホームページの更新を中止致します。どうぞ諸事情ご理解の上、お許しください。

私の休養中は、団員が自主的に練習に励むことになっております。この期間には、団員が新たに得るものも多いでしょう。新しい練習方法や運営方法が編み出され、自立的な活動が促進されるはずです。私も、復帰後はこれらを取り入れて、さらに充実したスコラ・カントールムの音楽をお届けすることをお約束します。

では、しばらくの間お別れ致します。皆様どうぞお元気で。


2004年4月23日
スコラ・カントールム代表
野中  裕


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