主宰者(指揮者)ご挨拶


師走の声を聞き、寒さもだいぶ厳しくなってまいりました。皆様お元気でお過ごしでしょうか。以前からお知らせしております、12月13日、奉仕園スコットホールでの「第7回特別演奏会/クリスマス・コンサート」および20日の清瀬みぎわ教会での演奏会が目前に迫りました。先日、スコットホールで使用するポジティーフ・オルガンを使用してリハーサルを行いました。今井奈緒子さんとの合わせはもう何回も経験しているのですが、リハーサルというのは何度やっても大変な緊張を伴うものです。リハーサルで胃の痛くなるような思いをしたことのない指揮者は、おそらくひとりもいないでしょう。しかし今井さんとの合わせは、あたたかな雰囲気の中に心地よい緊張感があふれたものです。私たちのような未熟な団体に対しても誠意を持ち、改善すべき点については的確に指摘をしてくださるので、団員たちは安心して「合わせ」の世界に入っていくことができます。これはひとえに今井さんのお人柄によるものであって、本当に素晴らしい方に共演していただいているという幸せを強く感じます。

私たちは普段、ア・カペラによる練習のみをしております。次回の「ロ短調」では久々に練習伴奏をお願いすることになりましたが、今まで伴奏をつけて練習することは、原則としてしてきませんでした。理由は調律法やピッチとの兼ね合い、伴奏者を頼むだけの金銭的余裕がない、指揮者が全く「鍵盤音痴」なために弾き振りが出来ない、などの事情によるものですが、何より大きな問題は再三このホームページでも申し上げてきたように、ア・カペラの練習を怠った合唱団は、目に見えて「聴く力」が落ちていくということなのです。他のパートをよく聴き、たとえピッチが上下しても、その移動した音高でハーモニーを合わせていく、という訓練は、合唱団にとって欠かせないものです。これがしっかりしていれば、鍵盤楽器の様々な調律法にも耳で対応ができ、音律のための特別な訓練に頼ることなく練習を進められる、という考えが私たちの根底にあります。そんなわけで楽器とのリハーサルは、いわば「ハレの日」であり、私だけでなく、合唱団員もいつもとは勝手がまるで違い、本当に緊張するのです。楽器と声と、二つの特徴を耳で感じ取りながら自分の声を探って行く。これは本当にしんどい作業ではありますが、しかし「自分たちの音を楽器を通して広げる」という喜びに満ちた瞬間でもあります。

こうした練習におつき合いいただき、貴重な助言をいただけるのは、本当に嬉しいことです。また、いつも楽器を提供していただく石井賢さんにも、さまざまなご配慮をいただいております。特に今回特筆すべきなのは、毎回使用させていただいているポジティーフ・オルガンに、レガール鍵盤がつくことです。先日初めて拝見しましたが、風箱から分配機のような箱を通して独立したレガールに送風する仕組みで、上蓋を開くと笛がむき出しになります。この上蓋の高さを、ピアノの蓋のように調整することで音量の調節ができるのです。すでにあったオルガンに増設したものとは思えない巧妙な仕掛けがいろいろと施されており、勉強になりました。今井さんもこのレガールを活かして新鮮なバッハとスウェーリンクをお聴かせくださるものと思います。どうぞご期待ください。

リハーサルも終わり、あとは2週連続の本番を迎えるだけとなりました。20日の清瀬みぎわ教会でのクリスマス・コンサートは、教会備え付けのパイプオルガンを用います。石井さんのポジティーフ・オルガンとはまた違った味わいをお楽しみいただけるはずです。合唱団のほうも、構成や趣向を13日とは変えてお届け致しますので、お時間があれば是非両日ともに足をお運びくださいますよう、お願い申し上げます。清瀬みぎわ教会の連絡先は0424-91-0450、メールアドレスは migiwa@crocus.ocn.ne.jp です。では、皆様に演奏会場でお会いできますことを楽しみにしております。


2009年12月10日
スコラ・カントールム代表
野中  裕


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