主宰者(指揮者)ご挨拶


第21回定期演奏会が、4日後に迫りました。通奏低音の皆様とのリハーサルを終え、演奏会に向けての準備は最終段階に入っております。団員たちもそれぞれ多忙な生活の一部を犠牲にして、よく頑張ってくれていると思います。あとは普段の練習の力が当日に十分発揮できるよう、調整を心がけていこうと思います。もちろん、まだもっとやれることがあるのではないか、詰め切れなかったところがあまりにも多いのではないか、という疑念は常に私たちの頭をよぎります。しかし、音楽というものは完成することがない。アマチュアの場合は殊更にそう言えます。ですから、「自分としてはここまで頑張った」という自信を持って演奏会に臨むしかないのでしょう。

練習というのは面白いもので、ほんの少しのきっかけで合唱団が「化ける」ことがあります。昨日まであんなに苦労していた場所が難なく通過したり、指揮者の予想もしなかった深い響きが取り出せたりしたときは、本当にやり甲斐を感じるものです。そのきっかけは作ろうと思って作れるものではなく、合唱団員ひとりひとりの自覚が高まり、自分の出す音に対する自信が増えたときに、まるで果実が熟するように音楽が花開いていく。そういう性質のものです。それを引き出す触媒のような働きが私の役目なのですが、私もアマチュアという立場で音楽に関わっている以上、素晴らしい才能を持つプロの指揮者のように研ぎ澄まされたテクニックや感性を持ち合わせていないのは、団員にとって相当なハンディだと痛感します。こんな私のことを的確にフォローしてくれる団員たちには(いつものことながら、身内を誉めるのはルール違反とは思いながらも)、感謝の念を捧げずにはいられません。そしていつも私たちを支えてくださる、通奏低音の高群輝夫・櫻井 茂・今井奈緒子のお三方、オルガン提供と調律をご担当くださる石井賢さんの存在も大きなものです。全面的な信頼をもってご指導を仰げる方々がすぐそばにいてくださることの安心感と緊張感が、私たち(特に私)の精神的安定に大きく関わっていることは、今さら申し上げるまでもありません。

さて、今回の演奏会に向けて私たちは「化ける」ことができたのでしょうか。あるいは、演奏会当日の舞台の上で、さらに「大化け」するのでしょうか。私自身、それをとても楽しみにしています。今回のプログラミングは、おそらく当団が20年間培った「基底となる力」がなければ実現できない、意欲的なものだと自負しております。ご期待に応えられる演奏会になると思いますので、どうか皆様お誘い合わせの上ご来場ください。3月18日、武蔵野市民文化会館小ホールにてお会いいたしましょう。


2012年3月14日
スコラ・カントールム代表
野中  裕


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