主宰者(指揮者)ご挨拶


第22回定期演奏会を明日に控え、昨日ですべての練習が終了しました。すでに三鷹市芸術文化センター・風のホールでのリハーサルも終え、後は本当に本番を待つのみです。毎年「リハーサルが終わるまでは緊張して寝付けない」などと若者めいた言葉を書いて失笑を買っていると思いますが、これは紛れもない事実です。しかし今年も客演の皆様の暖かいご指導をいただき、緊張のうちにも和やかな時間を過ごすことができました。

今回のリハーサルで感じたのは、「三鷹は本当に歌いやすい」「響きが美しい」ということです。もちろんいつも使わせていただいている武蔵野市民文化会館の小ホールも素晴らしい響きを持っているのですが、風のホールはキャパシティがやや大きいこともあって、響きが抜けていくような感じがあります。こうしたホールでは、小手先のテクニックで誤魔化そうとしてもそううまく行くものではありません。きちんと「自分の体」という楽器を鳴らし、しっかりとした芯のある歌声を、やや遠目の焦点で合わせることが必要になって参ります。この演奏会に向けて、「息の量を変に削減せず、音を確実に鳴らすこと、ただし息は旋律を切らないように横につなげる意識で均等に吐くこと」を目標に練習してきましたが、それはどうやら間違いではなかったようです。今回のア・カペラは最初の「パレストリーナ《ミサ・ブレヴィス》」のステージのみですが、この空間をどのように鳴らし、満たすことができるのか。明日は多少の声の歪み・小さなミスを恐れず(もちろん無いに越したことはないのですが……)、小細工無しの真っ向勝負を挑みたいと思います。

このような素晴らしいホールで、信頼感抜群の客演の皆様と共演して、バッハのカンタータを演奏できることは本当に大きな喜びです。私自身、今から明日が楽しみです。こんな期待感に身を委ねながら本番を迎えられるとは、何という幸せでしょうか。では明日15:00、三鷹市芸術文化センター・風のホールで皆様にお会いできるのを楽しみにしております。


2013年2月10日
スコラ・カントールム代表
野中  裕


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