主宰者(指揮者)ご挨拶


台風が近づいているようです。今後の天気が気になりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私たちは明後日に演奏会前最後の練習を迎えます。12日日曜日は、会場となります武蔵野市民文化会館小ホールにてリハーサルを行います。いよいよ本番に向けてのカウント・ダウンが始まったところで、私自身も気合いを入れ直しているところです。

当団演奏会のオール・アカペラ・プログラムは、2007年11月の「第6回特別演奏会(北とぴあ国際音楽祭参加公演)」以来約8年ぶり、定期演奏会に限ってみれば2004年3月の第13回以来11年ぶりということになります。「少人数の精緻な合唱団」を目指した当初の目標に照らしてみれば、オール・アカペラの演奏会がなかなか開けなかったのは残念というべき事態だろうと思います。しかし当団の規模は発足当時に比して倍程度に拡大しており、その特性に合わせた曲目を選ぼうとすると、どうしても無伴奏オンリー、合唱団だけで一回の演奏会を構成することが難しかったのです。久々にこうした企画を立てた理由は、何度も申し上げていることですが、「マタイ後」の合唱団の在り方をしっかりと構築するためでした。大規模な器楽合奏体と独唱を必要とし、曲のレベルも大きさも想像を絶するバッハの「マタイ受難曲」は、まさに総合力が問われる音楽だったと申せましょう。幸いにして私たちの「マタイ」はご好評のうちに終了することができたのですが、大曲の後には必ず「緩み」が参ります。自分たちだけの力で到達したのではないレベルに、あたかも自分たちだけで登り詰めたような錯覚を起こしてはならない、その意識が今回のプログラミングに直結しております。

その成果が問われるときが刻々と近づいておりますが、私個人としては、為すべき事は着々と為してきた、という思いで最後の週を迎えることができました。予想通り、どの曲も一定のレベルを超えて「詰め」の段階を迎えると極端に難しく、なかなか思い通りの音が出てこない苦しみを味わっております。しかし最近の団員の取り組みの意識は、指揮者が予想した水準をはるかに超えております。いつも「団員を褒めるのはルール違反か?」と思いつつも、自主練習を頻繁に組んでくれる団員たちの姿を見ておりますと、感謝の念を抑えられません。また最近は練習で活発な意見が飛び交うようになり、指揮者がアマチュアであることの利点を最大限に活かしてくれています。練習をしたら必ず良い演奏会が開けるほど音楽は甘いものではありませんが、団員の意識が「妥協を廃す」ところで一致している以上、その姿勢は必ず音楽の内容となって、お聴きいただく皆様に伝わるものと確信しておりますし、そうした音を実際に練習の瞬間に聴くことができる幸せに巡り会えることも、最近ではかなり増えて参りました。

指揮者を含めて皆がアマチュアであり、練習時間に恵まれた若者とは違う状況に置かれている以上、あまりに自信満々に自分たちの演奏会を宣伝することは、どうしても気が引けます。しかし少なくとも、私たちの練習の方向性は間違っていなかったと自信を持って言うことができます。是非とも7月18日には実際に武蔵野市民文化会館に足をお運びいただき、あたたかくも厳しい姿勢で、私たちの音楽をお聴きいただき、御指導を賜れれば幸せに存じます。今回は、当日券もご用意できそうです。少しでもお時間が出来ましたらお気軽にご来場ください。心よりお待ち申し上げております。


2015年7月9日
スコラ・カントールム代表
野中  裕

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