主宰者(指揮者)ご挨拶


あとわずかで2016年が暮れようとしております。去る12月10日に行われました「国際基督教大学クリスマス・コンサート」は、327名ものお客様をお迎えして無事に終了致しました。お世話になりました国際基督教大学のマット・ギラン先生、伊東辰彦先生、浅見敬子様をはじめとする皆様に、心から感謝申し上げます。そして朴瑛実さん、穴澤ゆう子さん、大西律子さん、今井奈緒子さんをはじめとする客演の皆様は、未熟な私を技術的にサポートしながら、さまざまな障害を克服して素晴らしい演奏をしてくださいました。本当に、何と御礼を申し上げてよいかわかりません。そして難度の高い曲ばかりを要求してしまった団員の頑張りにも、主宰者として拍手を送りたいと思います。

しかし当日の主役は、私たちの演奏を温かな雰囲気で包み込むように聴いてくださった聴衆の皆様ではないかと思うのです。2階席まで一杯になったチャペル全体に、クリスマス・コンサートに相応しい「ともに救世主の生誕を寿ぐ」という空気が満ちていたように感じられたのは、きっと私だけではないでしょう。アマチュアの場合はとりわけ、演奏することそれ自体に楽しみがあることは論を俟ちません。しかし今回は伝統と格式あるコンサートシリーズへの出演ですから、私を筆頭として団員は皆、相当な緊張感をもって本番に臨んでおりました。そうした緊張感を解きほぐし、大きな包容力のうちに私たちの演奏を聴いてくださったのが、当日お集まりいただいた皆様だったのだと思います。もちろんそれに甘えて演奏まで甘くなってしまっては論外なのではありますが、コンクールのような場とは全く異なる、「聴いてくださる皆様と、演奏者が共演する」感覚に襲われたのは大変に嬉しい出来事でありました。改めて、御礼申し上げます。

それにしても、今年は多くのことが勉強できた1年でした。近代のフランス人作曲家についてはほぼ無知に近く、フランス語が(も)全く出来ない私としては、プーランクやデュリュフレの名曲を自分が指揮するというのは考えも及ばないことでした。五十の坂を越えて自分に対する抑制が利かなくなってしまったのか、よい意味での開き直りなのかはわかりませんが、この一年を終えるにあたって、こうしたジャンルにも恐れずに手を出してみてよかったとつくづく思います。これから還暦に向かっての十年間、どれほどのことができるか不安な状態ではありますが、四半世紀を乗り切った団員たちと、共演を重ねてくださっている皆様に学びながら、演奏してよかった、と思える一瞬を創り出すために精進して参りたいと思います。

来年の予定につきましては、現在策定中です。まだ次回定期演奏会のお知らせすら差し上げることができず恐縮ですが、今年から始まった「合唱団スコラ・カントールムを母体とする別団体での活動」は、来年以降も続いて参ります。新年早々には、そちらについてまずお知らせすることが出来そうです。どうぞお楽しみにお待ちください。それでは皆様、どうぞよいお年をお迎えください。


2016年12月31日
スコラ・カントールム代表
野中  裕

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