コンサートのお知らせ・活動予定など
(終了したもの)


◆第3回特別演奏会
クリスマス・コンサート

2001年12月16日(日)

東京・護国寺/同仁キリスト教会礼拝堂

開場17:30
開演18:00
(当初の予定と変更になっています。ご注意ください。)

演奏曲目

T
ウィリアム・バード

「マニフィカト」
ハインリヒ・シュッツ
「ドイツ語マニフィカト」

U  福沢 宏・今井奈緒子デュオステージ
ヨハン・セバスティアン・バッハ

ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ他

V
ヨハン・セバスティアン・バッハ

クリスマス用コラールBWV248-35,294,368
シェメッリ歌曲集よりBWV469,493(テノール独唱=大貫浩史)
「4つのデュエット」より第2・3番BWV803,804
(オルガン独奏=今井奈緒子)
モテット《主に向かいて新しき歌をうたえ》BWV225

チケット価格
800円(現在発売中)

客演:福沢 宏(ヴィオラ・ダ・ガンバ)・今井奈緒子(オルガン)


1999年3月の「H.シュッツの受難曲」以来、約2年半ぶりとなる「特別演奏会」の開催が決定しました。私たちの演奏会はいつも春浅い3月に行われるのが常となっております。この時期はキリスト教の教会暦では受難節を控えた時期に当たっています。ルネサンス・バロック期の宗教曲をレパートリーの中心に置く当団では、このために定期演奏会で取り上げる曲がどうしても「受難」あるいは「葬送」などのテーマに偏りがちだったことは否めません。そこで、「是非クリスマス用の喜ばしい曲を高らかに歌い上げてみよう!」という実に単純な欲求からこの特別演奏会が計画されたわけです。合唱のステージ以外にも、おなじみの福沢宏さんがバッハ・コレギウム・ジャパンで活躍中の今井奈緒子さんと組んで、素晴らしい器楽ステージを聴かせてくれることになっています。合唱が取り上げる曲はいずれも明るい賛美を基調としたものばかりで、なかなか挑戦することのできなかったバッハの「モテット1番」《主に向かいて新しき歌をうたえ》も、当団として初めて歌うことになりました。会場は第3回定期演奏会まで使用させていただいた、懐かしい護国寺の同仁キリスト教会に戻ります。収容人数はやや小さくなりますが、その分演奏者とお客様の距離が近く、親密な雰囲気となる演奏会を目指しております。その一環として、チケットもお求めやすい値段に設定してあります。クリスマスの休日の午後のひととき、お気軽に足を運んでいただければ幸いに存じます。どうぞご期待ください!


◆スコラ・カントールム第11回定期演奏会
2002年3月30日(土)

武蔵野市民文化会館小ホール

開場18:00
開演18:30

演奏曲目

ウィリアム・バード
「グレート・サーヴィス」全曲

メンデルスゾーン
モテット《なにゆえに異邦人は》Op.78-1
モテット《神よ、われを裁き》Op.78-2
《われら人生のさなかにありて》Op.23-3
《アヴェ・マリア》Op.23-2

チケット価格
1200円

今回は、タリス・スコラーズの名演で名高いバードの「グレート・サーヴィス」を全曲演奏いたします。演奏に約45分を要する大曲ですが、充実したポリフォニーの流れはしばしば歌っているものを陶酔に誘います。相手にとって不足はありません。果敢にチャレンジしたいと思います。このうち「マニフィカト」だけを2001年12月16日のクリスマス・コンサートにて演奏しましたが、おかげさまで好評をいただきました。今後録音を聞き直すなどして細部を反省・再検討し、3月にはさらに成熟した演奏をお届けできるよう練習に励みます。
また、5年ぶりにメンデルスゾーンに本格的に取り組みます。ロマン派の合唱曲は当団のレパートリーとしては異質ですが、現在のメンバーで1年間かけて練習していくのに最も相応しいレパートリーとして選ばれました。有名なOp.23の2曲をはじめとする名曲揃いですが、特にOp.23-2「アヴェ・マリア」はテノール・ソロ、オルガン伴奏を伴う極めて美しい曲です。前回の演奏会でもソリストとして好評を博した大貫浩史のソロ、そして客演としてすっかりおなじみとなりました能登伊津子さんの伴奏でお楽しみください。使用するオルガンは、武蔵野市民文化会館小ホールが誇るパイプオルガンです。この他、能登さんによるメンデルスゾーンのオルガン曲独奏も予定されています。11回目を迎える私たちの定期演奏会に、どうぞご期待ください。


能登さんのパイプオルガン独奏曲が決定しました。メンデルスゾーンの「3つのプレリュードとフーガ」Op.37より第1曲ハ短調です。「プレリュード(=前奏曲)とフーガ」という組み合わせは、ご承知の通りバッハによって集大成されたオルガン音楽の形式で、メンデルスゾーンは尊敬するバッハに倣ってこれらの曲を書いたのでしょう。このOp37.-1ではハ短調という調の緊迫感を駆使し、プレリュードは一貫して八分音符の連続、フーガは付点リズムを生かした八分の十二拍子(バッハの《マタイ受難曲》冒頭合唱の通奏低音を彷彿とさせます)で書かれています。第5回定期演奏会でも見事なバッハのオルガン曲演奏を聴かせてくれた能登さんの演奏にご注目ください。(2002.1.8追記)


能登さんのプロフィールを掲載しました。こちらをご覧ください。(2002.3.11追記)


スコラ・カントールムでは、今回のバード「グレート・サーヴィス」全曲演奏にあたり、ルネサンス・バロックの声楽曲をご専門に活躍中のソプラノ歌手、木島千夏さんに英語の発音および発声指導をお願い致しました。木島さんのプロフィールを掲載しましたのでこちらをご覧ください。(2002.3.11追記)



◆レザール・フロリサン音楽監督/ウィリアム・クリスティ「ワークショップ」参加
2002年8月27日(火)

東京オペラシティリサイタルホール

18:30開演(スコラ・カントールムは20:00頃から)

受講曲

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
《メサイア》より第4曲「主の栄光が現れ」・第44曲「ハレルヤ」
伴奏:野澤知子(東京芸術大学音楽学部在籍中)
通訳:関根敏子(音楽学)

全席自由2000円
お問い合わせ:アスペン  03-5467-0081
東京オペラシティチケットセンター  03-5353-9999

主催:アスペン/東京オペラシティ文化財団

来年2月に手兵「レザール・フロリサン」を率いて来日するウィリアム・クリスティ氏が、この夏プロモーションのため単独来日されます。この機会を利用したワークショップの開催に当たり、スコラ・カントールムが合唱公開マスタークラスの受講者に選ばれました。当日は16名の精鋭で、彼らの来日時の演奏曲である《メサイア》から2曲を受講致します。当団をご存じの方のみならず、合唱指導などにご興味をお持ちの方も是非おいでいただきたいと思います。また前半のソロ・デュオの部では、バッハ・コレギウム・ジャパンなどで大活躍中の上杉清仁(カウンターテノール)、懸田奈緒子・野々下由香里(ソプラノ)の皆さんが受講されます。どうぞ皆さまお誘い合わせの上ご聴講ください。チケットは現在発売中です。また、東京オペラシティホームページにもご案内がございます。 こちらのリンクをご覧ください。



◆栃木[蔵の街]音楽祭・メインステージ出演
2002年10月12日(土)

栃木市文化会館ロビー

16:00開演

演奏曲目

トマス・ルイス・デ・ビクトリア
「死者のための聖務曲集」より「6声のレクイエム」(1605)

お問い合わせ:栃木[蔵の街]音楽祭実行委員会  0282-23-5678

2年ぶりに「栃木」に出演することになりました。今回は地元でユニークな音楽プロモートをしていらっしゃる「下野楽友協会」様のご招聘という形でステージに立たせていただきます。お送りする曲は、第12回定期演奏会に演奏するビクトリアの「死者のための聖務曲集」から、「本体部分」とも言うべき「6声のレクイエム」です。ビクトリア畢生の名作と言われる「レクイエム」を、相性の良い栃木の会場でお聴きいただけるのは私たちにとっても大変幸せなことです。首都圏にお住まいの皆さま、当日はどうぞ足をお運びください。



◆スコラ・カントールム第4回特別演奏会
2002年10月19日(土)

早稲田奉仕園スコットホール

開場18:00・開演18:30

演奏曲目

ドメニコ・スカルラッティ:モテトゥス《汝の栄光を》

ハインリヒ・シュッツ:
《サウルよ、サウルよ、なぜ私を迫害するのか》SWV415
《若き日からの妻に喜びを抱け》SWV453
《私は荒野で呼ばわる者の声》SWV383
《バビロン川のほとりで》(詩篇137)SWV37
《主よわれらを救いたまえ》(詩篇118)SWV402

客演のステージ:イタリア・バロックの器楽音楽
カステッロ《ソナタ》
ヴィヴァルディ《ラフォリア》
ドメニコ・スカルラッティ《チェンバロ・ソナタ》ほか

客演

水永牧子(チェンバロ)・高群輝夫(チェロ)・大西律子・渡辺さとみ(ヴァイオリン)

チケット価格:100円!

スコラ・カントールムの新しい企画、「奉仕園100円コンサート」です。人気沸騰中の「ラ・フォンテーヌ」より水永・高群のお二人をお迎えし、フレッシュな若手ヴァイオリン奏者との楽しい競演です。もちろん、私たちの演奏にも参加していただきます。詳細は決まり次第アップしてまいります。

「奉仕園100円コンサート」の演奏曲が決定いたしました。「特別演奏会」は、普段の定期演奏会では演奏しにくい曲、特別な企画を伴う曲をお楽しみいただくのが「売り」ですが、コンセプトとしては客演の皆さまの妙技をお聴きいただくことも大きな特徴です。若手古楽奏者の皆さんによる「イタリア・バロック」の世界をどうぞご堪能ください。チェンバロの水永牧子さんは今年ドメニコ・スカルラッティのソナタのCDを発売されましたが、これが「レコード芸術」の特選盤に輝きました。今回の演奏会でも、そのスカルラッティのソナタを弾いていただきます。そしてそれに合わせ、聴かれることが滅多にない彼の宗教曲を演奏いたします。さらにシュッツのステージでは、オブリガートのヴァイオリンを伴う二重合唱の曲から無伴奏の形で書かれたものまで、シュッツの芸術のエッセンスを示す多彩な編成の曲を厳選してお送りします。たった100円で合唱・客演の意欲あふれるプログラムが満喫できるこの演奏会、どうぞお聞き逃しなく。(2002.7.25追記)


早稲田奉仕園への行き方は、こちらのリンクをご覧ください。



◆スコラ・カントールム第12回定期演奏会
2003年3月21日(金祝・春分の日)

武蔵野市民文化会館小ホール

開場18:00
開演18:30

演奏曲目

トマス・ルイス・デ・ビクトリア
「死者のための聖務曲集」(「6声のレクイエム」)全曲(1605)
ハインリヒ・シュッツ
「音楽による葬送」SWV279〜281

チケット価格
1200円

第12回定期演奏会では、ビクトリアの「死者のための聖務曲集」全曲を演奏いたします。加えて、第6回定期で演奏したシュッツの「音楽による葬送」を再演することになりました。どうぞご期待ください。こちらも詳細は決定次第追ってアップしてまいります。


「音楽による葬送」の客演者が決まりました。次の皆さんです。
・福沢 宏(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
・永田平八(リュート)
・櫻井 茂(ヴィオローネ)
・能登伊津子(オルガン)
いずれも当団と共演を重ね、卓越した技術と音楽性で合唱団に大きな影響を与えてくださった皆さんです。また今回もご一緒できることを団員一同心から誇りに思っております。櫻井さんは第7回定期演奏会のヘンデル「主は言われた」以来久しぶりのご出演になります。皆様どうぞご期待ください。(2002.8.25追記)

もうお一方、客演が決定しました。カウンターテノールの青木洋也さんです。青木さんはバッハ・コレギウム・ジャパンやカペラなど、日本を代表する古楽アンサンブルで歌手を務めています。また当団のメンバーが多数在籍していた「早稲田大学・日本女子大学室内合唱団」の専任指揮者をなさっており、若手有望株ナンバー1と目される活躍ぶりを見せています。今回はシュッツ「音楽による葬送」のアルト・ソロをお願いするほか、シュッツの「クライネ・ガイストリヒェ・コンツェルト」から数曲歌っていただく予定です。詳しくは、決定次第お知らせいたします。(2002.11.9追記)

客演の青木洋也さんに歌っていただく曲が決定しました。ハインリヒ・シュッツの「クライネ・ガイストリヒェ・コンツェルト」より、「神の子らよ、主に帰せよ」SWV283と、「われ心より主に感謝す」SWV284です。いずれもアルト独唱と通奏低音のための小さな曲ですが、ドイツ語をそのまま音楽と化するかのごときシュッツ芸術の深奥を示すものともいえます。最近ソリストとしてもアンサンブルの一員としても心境著しい青木さんの歌唱と、実力派の伴奏とのマッチング、どうぞご期待ください。(2002.12.14追記)



◆第15回栃木[蔵の街]音楽祭 メインステージ出演
2003年10月11日(土)
 NEW!

栃木市文化会館エントランスホール

演奏開始:16:00

演奏曲目
ジョヴァンニ・ピエールルイジ・ダ・パレストリーナ
「教皇マルチェルスのミサ曲」


また今年も「栃木」にお世話になることになりました。来年3月の定期演奏会のプログラムより、「教皇マルチェルスのミサ」を一足早くお聞きいただきます。響きのすぐれた栃木市民文化会館で、毎年熱心な聴衆の皆様を前に演奏できることの喜びを、毎年かみしめております。どうぞ今年もたくさんの方々にご来場いただきますよう、お願い申し上げます。

栃木[蔵の街]音楽祭のホームページもぜひご覧ください。



◆スコラ・カントールム第13回定期演奏会
2004年3月14日(日)

武蔵野市民文化会館小ホール

開場16:30
開演17:00(予定)

演奏曲目

T マドリガリズムの諸相

オルランドゥス・ラッスス:宗教的マドリガーレ「聖ペテロの涙」より
終曲「見よ、世の人よ」

ヨハン・ヘルマン・シャイン:「イスラエルの泉」より
「涙とともに種まくものは」
「シオンは語る、主は私を見捨てたと」

ロバート・ラムジー
「勇者たちは戦いのさなかに」

トマス・トムキンズ
「わざわいなるかな」

U 対位法の継承者、シェーンベルク

アルノルト・シェーンベルク
「3つの民謡」Op.49
「千の三倍の年」Op.50A

V ジョヴァンニ・ピエールルイジ・ダ・パレストリーナ
「教皇マルチェルスのミサ曲」


今回の第1ステージは、作曲技法的には「マドリガリズム」、つまり言葉の持つ内容を表すために音画的要素を多用した曲を集めました。演奏する5曲はそれぞれが独自の特徴を持っています。フランドル楽派の最後を飾るラッススの白鳥の歌、「聖ペテロの涙」の終曲に見られる濃厚なポリフォニーは、ドイツではシャインの「イスラエルの泉」の中で際だった個性を持つフレーズに変形され、イギリスでは 鋭い不協和音を伴った、分厚い和声に姿を変えています。各曲の個性をお楽しみください。

第2ステージは、当団が初めて挑戦するシェーンベルクの合唱曲です。時代的にはかけ離れている彼の作品も、「線的対位法」という根本思想でバッハを介在し、中世の世界にまでつながっています。今回お送りする「3つの民謡」は素朴な編曲ですが、時折顔を出すリズムの混在が不思議な感覚を醸し出す佳曲です。「千の三倍の年」はセリーを用いた十二音技法的な音楽で、おそらくは「ワルシャワの生き残り」と並んで、技法と表現内容がぴたりと一致したシェーンベルク合唱曲上最高の名作のひとつでしょう。その神秘的な世界を表現すべく頑張っています。

「教皇マルチェルスのミサ曲」には、こんな伝説がついてまわります。プロテスタントの勃興に危機感を感じたカトリック側は、トリエント公会議で「華美な教会音楽、歌詞の聴き取れない音楽は堕落の原因だ」とし、正規のグレゴリオ聖歌以外の音楽を禁じようとした。しかしパレストリーナは「教皇マルチェルスのミサ」を書いて、伝統的なポリフォニーでも歌詞がはっきりと響くことを証明し、教会音楽の危機を救った、というものです。どうやらこの伝説の信憑性はゼロに近いらしいですが、こんな話が作られてしまうほどこのミサ曲は著名であり、パレストリーナの作風を代表するものです。見通しのよい流麗な旋律と豊麗で美しい和声。こけおどしの不協和音や半音階を一切廃し、ただひたすら美しい天上の世界を思い起こさせる音楽です。名前だけは有名でいながら、どういうわけかなかなか実際の演奏には接することが困難だったこの名曲に、スコラ・カントールムが満を持して挑戦します。どうぞご期待ください。

チケット価格
1000円



◆スコラ・カントールム第14回定期演奏会 〜J.S.バッハに至る道〜

2005年2月12日(土) 武蔵野市民文化会館小ホール

開場18:00
開演18:30
チケット価格:1200円

演奏曲目
T ヨハン・セバスティアン・バッハ
 カンタータ《主はわれらをみ心に留めたまえり》BWV196

U バッハ一族のモテット集
 ヨハン・クリストフ・バッハ《義人若くして死なんとも》
 ヨハン・ミヒャエル・バッハ《汝ら恐るるなかれ》
 ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ《われらの艱難は》
 作曲者不明(J.S.バッハ?)《汝を去らしめず、汝われを祝せずば》

V ディートリヒ・ブクステフーデ
 コラール変奏曲《われらから取り去りたまえ、主よ》BuxWV207
 プレリューディウム ト短調 BuxWV149(以上2曲オルガン独奏=今井奈緒子)
 カンタータ《われらから取り去りたまえ、主よ》BuxWV78
 カンタータ《汝らがなすことのすべて》BuxWV4

合唱:スコラ・カントールム
客演:
ヴァイオリン=桐山建志・鍋谷里香
ヴィオラ=上田美佐子・深谷由紀子
チェロ=高群輝夫
コントラバス=櫻井 茂
オルガン=今井奈緒子

指揮:野中 裕


◇プログラムご案内(野中 裕)◇

今回のプログラムは、「J.S.バッハに至る道」と題してお届けすることになりました。まずヨハン・セバスティアン・バッハがごく若い頃に作曲した結婚カンタータ、BWV196で幕が開きます。その後、時代を遡る形で、ドイツ・プロテスタントの宗教曲の精華をお聴きいただこうという趣向です。選び出した作曲者はバッハ一族の4名とディートリヒ・ブクステフーデ、いかにも手堅い人選と思われるかもしれませんが、ヨハン・セバスティアンの音楽に決定的な影響を与えた人ばかりです。その音楽の密度の濃さには、必ず驚かれ、またご満足いただけるものと確信しております。

バッハ一族のうち、ヨハン・クリストフとヨハン・ミヒャエルの二人は兄弟です。セバスティアンにとっては大叔父にあたる人物で、ともに当時高い評価を受けた作曲家としてその名が知られています。バッハ一族の宗教声楽作品のアンソロジーといえる「古バッハ資料」にも、たくさんの作品が記録されています。ヨハン・ミヒャエルは、セバスティアンの最初の妻であるマリーア・バルバラの父でもあります。ヨハン・ルードヴィヒは、世代としてはセバスティアンと同じ1677年の生まれで、マイニンゲンで活躍した人物です。マイニンゲンに本拠を構えたバッハ一族は、大きく分類すると、音楽を得意にしたものと、絵画の才に秀でたものがおります。ルードヴィヒは音楽的才能に恵まれ、セバスティアンも一目置いた存在でした。ライプツィヒのトーマス・カントルとなったセバスティアンは、1726年にルートヴィヒのカンタータを18曲も演奏したことが知られています。

さてもうひとり、《汝を去らしめず、汝われを祝せずば》の作曲者なのですが、これは議論百出、途方に暮れてしまう状態です。古くは、セバスティアンのモテットとして扱われてきましたが、19世紀も後半になって、特に根拠もなくヨハン・クリストフの作品だという説が唱えられました。その後も混迷状態が続き、20世紀も終わるという時期になって、やはり作曲者はセバスティアンその人だという強力な主張がなされています。私は、伝承の経路や音楽的手法から見てセバスティアンひとりの作品ではない、と考えていますが、それでは誰の作品なのかと問われればお手上げの状態です。これだけ多くの議論が出てくる背景は、もちろんこの曲の素晴らしさにあります。どのような曲なのかはお聴きいただいてのお楽しみ、ということになりますが、今回は2002年に発刊された「新バッハ全集」の「疑作モテット、コラール編曲、歌曲」の巻を用い、19世紀になってから何者かの手によって付け加えられた4声コラールも含んでの「完全版」をお届けします。

ブクステフーデのカンタータは複雑な対位法を用いず、和声的で構造がすっきりとまとまっているのが特徴です。今回演奏する《われらから取り去りたまえ、主よ、まことの神よ》は、同名のコラールを節ごとに編曲した「コラール・パルティータ」の形式をとります。ブクステフーデの手慣れた編曲技法が感じ取れると同時に、セバスティアン・バッハの最も若い頃の作品と言われる《キリストは死の縄目につながれたり》BWV4を彷彿とさせる、堂々とした作品に仕上がっています。《汝がなすことのすべてを》は、独立した器楽ソナタや声楽ソロのパートを含み、よりバラエティに富み、活き活きとした華麗な作品です。客演にお迎えした器楽の皆様の、充実したアンサンブルにご注目ください。

20歳のセバスティアンがはるばるアルンシュタットからリューベックまで旅し、ブクステフーデの主宰する「夕べの音楽」や、彼のオルガン演奏に感銘を受けたことは有名です。バッハは4週間の休暇を無断で4ヶ月にも延ばし、アルンシュタットの聖職会議に喚問されてしまうことになります。それだけブクステフーデの音楽、とりわけオルガン演奏は素晴らしかったのでしょう。今回は今井奈緒子さんという名手を客演にお迎えし、ブクステフーデのオルガン曲を2曲弾いていただくことになりました。こちらにも、どうぞご期待ください。

武蔵野市民文化会館への行き方は、こちらのリンクをご覧ください。



◆スコラ・カントールム第5回特別演奏会
〜オブレヒト・フェスティヴァル参加/オール・ア・カペラ・プログラム〜

2005年10月15日(土) 同仁キリスト教会

開場18:00
開演18:30
チケット価格:1000円(予価)

演奏曲目

1 ジョスカン・デ・プレ「天の女王よ、祝されたまえり」
2 アンティフォナ「ペテロのもとに来たりて」
3 ヤコブ・オブレヒト「ミサ・カプト」よりキリエ
4 ヤコブ・オブレヒト「ミサ・カプト」よりグローリア
5 アントワーヌ・ブリュメル「おお、主なるイエス・キリスト」
6 ヤコブ・オブレヒト「ミサ・カプト」よりクレド

休憩

7 ヤコブ・オブレヒト「ミサ・カプト」よりサンクトゥス
8 アドリアン・ヴィラールト「おお十字架よ、輝き」
9 ヤコブ・オブレヒト「ミサ・カプト」よりアニュス・デイ
10 チプリアーノ・デ・ローレ「我が庭に下り」




1 Josquin des prez "Benedicta es, caelorum regina"
2 Antiphona "Venit ad Petrum"
3 Jacob Obrecht "Missa Caput", Kyrie
4 Jacob Obrecht "Missa Caput", Gloria
5 Antoine Brumel "O Domine Jesu Christe"
6 Jacob Obrecht "Missa Caput", Credo

intermission

7 Jacob Obrecht "Missa Caput", Sanctus
8 Adrian Willaert "O crux, splendidior"
9 Jacob Obrecht "Missa Caput", Agnus Dei
10 Cipriano de Rore "Descendi in hortum meum"

※ 全演奏曲目決定に伴い2005年6月7日追加掲載


指揮:野中 裕
合唱:スコラ・カントールム

第5回特別演奏会の速報です。花井哲郎さん率いる「ヴォーカルアンサンブル・カペラ」が、フランドルの作曲家、ヤコブ・オブレヒトの没後500年を記念して、「オブレヒト没後500年記念・ミサ曲連続演奏会」を企画しました。「カペラ」を中心に、参加団体がオブレヒトのミサ曲を連続演奏致します。スコラ・カントールムも、「ミサ・カプト」で参加させていただくことになりました。詳細は、追ってお知らせ致します。どうぞお楽しみに!


◆スコラ・カントールム第15回定期演奏会

2006年3月25日(土) 武蔵野市民文化会館小ホール

開場18:00
開演18:30
チケット価格:2000円

演奏曲目
ヨハン・セバスティアン・バッハ
カンタータ第21番《わがうちに憂いは満ちぬ》BWV21
モテット第2番《み霊はわれらが弱きを助けたもう》BWV226
《マニフィカト ニ長調》BWV243

ヴァイオリン:桐山建志・大西律子・鍋谷里香・高橋真二・長岡聡季
ヴィオラ:上田美佐子・深沢美奈
チェロ:高群輝夫
ヴィオローネ:櫻井茂
フルート:菊池香苗・国枝俊太郎
オーボエ:尾崎温子・永浜由桂
ファゴット:功刀貴子
トランペット:平井志郎・松居 洋輔・大矢 智子
ティンパニ:近藤 郁夫
オルガン:今井奈緒子

ソプラノ:野口紀美子
アルト(メゾ・ソプラノ):朴瑛美
テノール:大貫浩史
バス:浦野智行


指揮:野中 裕
合唱:スコラ・カントールム

※ 全客演決定につき、2005年6月12日追加掲載


今回も、素晴らしい客演の方々をお迎えすることができました。女声のお二人は、現在東京藝術大学で研鑽中の、将来を嘱望される若手歌手です。フレッシュな歌声にご期待ください。テノールは当団団員としてもお馴染みの大貫浩史。バスにはバッハ・コレギウム・ジャパンなどで大活躍中の浦野智行さんをお迎えします。器楽はお馴染みの方々がほとんどですが、今回は初めてトランペットとティンパニを使用する大曲に挑みますので、平井志郎さんに依嘱をお願いしたチームにご出演いただくことになりました。どうぞご期待ください!


◆スコラ・カントールム第16回定期演奏会

2007年3月24日(土) 武蔵野市民文化会館小ホール

開場18:00
開演18:30
チケット価格:1500円

演奏曲目
T イギリス・テューダー朝のモテトゥス
ウィリアム・バード「主よ、怒りたもうな」
ロバート・ホワイト「主が悩みの日にあなたに答え」
ウィリアム・コーニッシュ「めでたし女王」

U カルロ・ジェズアルド
「聖木曜日のレスポンソリウム」より第1・2・3曲

V アンドレ・カンプラ
「レクイエム」

カウンターテノール:上杉清仁
テノール:大貫浩史
バリトン:根岸一郎
リコーダー:向江昭雅・井上佳代
ヴァイオリン:竹嶋祐子・荒木優子
ヴィオラ:深沢美奈・森田芳子
ヴィオラ・ダ・ガンバ:福沢 宏
ヴィオローネ:櫻井 茂
オルガン:今井奈緒子

合唱 スコラ・カントールム
指揮 野中 裕

昨年のオール・バッハ・プログラムから一転し、今回はイギリス・イタリア・フランスの各地域性や、時代性が際だつステージを組むことになりました。
第1ステージでは、「イートン・クワイヤ・ブック」に含まれるコーニッシュの難曲に挑戦します。天にも届けとばかり、尋常ならざる高音域をひたすら歌い上げるトレブル(=ソプラノ)パート。複雑なリズムと細密画のような細かい音符で駆けめぐる他パート。イギリス音楽の意外な一面をご堪能いただけると思います。
第2ステージはジェズアルドのレスポンソリウムです。マドリガーレに比して演奏機会は少ないものの、彼の感性がよく表れた名作です。特に充実している冒頭の3曲をお聴きいただきます。
そして最後のステージはフレンチ・クラシカルの名曲、アンドレ・カンプラの「レクイエム」です。フランス生まれのレクイエムの名曲は何と言ってもフォーレのそれでしょうが、バッハとほぼ同時代人のカンプラの描き出した世界は、フォーレのものに優るとも劣らない、静謐でおだやかな幸福に満ちた世界です。どうぞご期待ください。



◆『折々の会』第34回サロンコンサート
「法悦のハーモニー ルネッサンス教会音楽の夕べ」
緊急出演決定!

2007年10月27日(土)
東松山市平野市民活動センター リフレッシュホール

開演 19:15(19:00よりプレトークあり)
会費: 大人:3000円 大学生以下:1500円
事前申し込み不要 当日会場にて

曲目

1 グレゴリオ聖歌 イムヌス「舌よ、讃えよ」
2 ジョスカン・デ・プレ 「ミサ《パンジェ・リングァ》」 キリエ
3 ジョスカン・デ・プレ 「ミサ《パンジェ・リングァ》」 グローリア
4 グレゴリオ聖歌 アンティフォナ「来たれ、キリストの花嫁」
5 パレストリーナ モテット「来たれ、キリストの花嫁」
6 ジョスカン・デ・プレ 「ミサ《パンジェ・リングァ》」 クレド

休憩(15分)

7 パレストリーナ モテット「谷川慕いて」
8 ジョスカン・デ・プレ 「ミサ《パンジェ・リングァ》」 サンクトゥス
9 パレストリーナ モテット「バビロン川のほとり」
10 ジョスカン・デ・プレ 「ミサ《パンジェ・リングァ》」 アニュス・デイ
11 パレストリーナ モテット「神を讃えよ」

埼玉県 東松山市のコンサートシリーズ『折々の会』のご招聘をいただきまして、10月27日(土)のサロンコンサートに、当団が出演させていただくことになりました。プログラムは1週間後の「北とぴあ」とほぼ同じですが、プレトークによってプログラムの内容をよりわかりやすくご説明するとともに、構成も一部変更して、「サロンコンサート」に相応しい内容に致しました。どうぞ皆様お誘い合わせの上ご来場ください。

会場等の詳しい情報やコンサートの様子、歴史などは、『折々の会』ホームページをご覧ください。
お問合わせは、『折々の会』事務局でチェンバロ制作家の横田誠三さんまで。


◆スコラ・カントールム第6回特別演奏会
(北とぴあ国際音楽祭2007参加公演)

2007年11月3日(土祝) 北とぴあ・つつじホール

開場18:00
開演18:30
チケット価格: 1000円

曲目

1 ジョスカン・デ・プレ モテット「アヴェ・マリア」
2 グレゴリオ聖歌 アンティフォナ「来たれ、キリストの花嫁」
2 パレストリーナ モテット「来たれ、キリストの花嫁」
3 パレストリーナ モテット「谷川慕いて」
4 パレストリーナ モテット「バビロン川のほとり」
5 パレストリーナ モテット「神を讃えよ」

休憩(20分)

6 グレゴリオ聖歌 イムヌス「舌よ、讃えよ」
7 ジョスカン・デ・プレ 「ミサ《パンジェ・リングァ》」(全曲)

北とぴあ:京浜東北線・東京メトロ南北線・都電荒川線王子駅下車すぐ
ホームページ:http://www.kitabunka.or.jp

合唱 スコラ・カントールム
指揮 野中 裕

共催:北区文化振興財団・北区
チケット発売開始:7月2日
車椅子席をご希望の方は、7月2日以降に北区文化振興財団(03-5390-1221)にてご予約ください。

今回の特別演奏会は、北とぴあ国際音楽祭への参加公演という形で、ジョスカン・デ・プレとパレストリーナの名曲を集めてお送りします。合唱音楽の頂点を極めた「フランドル楽派」の中でも特に「伝説」となったこの二人の代表作をご紹介し、その個性と魅力を探ります。ジョスカンの《ミサ・パンジェ・リングァ》は1998年以来9年ぶり、《アヴェ・マリア》は第1回定期演奏会にとりあげてから、何と15年ぶりの再演となります。当時と現在とでは、団員の構成も年齢も違います。私たちなりに成熟した演奏をお届けできればと思います。またパレストリーナは、合唱経験者ならおそらく一度は歌ったことがあるであろう有名曲ばかりを集めました。「教会音楽の理想」と讃えられた彼の作法の魅力をお伝えすべく、愚直なまでに正攻法のアプローチをとっていくつもりです。

車椅子席以外のチケットのお申し込みは、こちらで承ります。




◆スコラ・カントールム第17回定期演奏会 〜「第一作法」の系譜〜

2008年3月15日(土) 川口リリア・音楽ホール

開場18:00
開演18:30
チケット価格: 1500円

演奏曲目:

T ドメニコ・スカルラッティ 「マニフィカト」

U クラウディオ・モンテヴェルディ 「4声のミサ曲」(1651)

V ヨハン・セバスティアン・バッハ 『クラヴィーア練習曲集第3巻』より
   「キリエ、永遠の父なる神よ」BWV669
   「キリストよ、すべての世の慰めよ」BWV670
   「キリエ、聖霊なる神よ」BWV671(オルガン独奏:今井奈緒子)

W ハインリヒ・シュッツ『宗教的合唱曲集』(1648)より
   第17曲「言葉は肉となって私たちの間に宿られた」
   第1曲「王笏はユダから離れず」
   第2曲「彼は自分の衣を葡萄酒で洗い」
   第16曲「ひとりのみどりごが私たちのために生まれた」
   第3曲「救いをもたらす神の恵みが現れ」
   第10曲「涙と共に種をまく者は」
   第20曲「それは確かなまことである」

チェロ:高群輝夫
オルガン:今井奈緒子
合唱:スコラ・カントールム
指揮:野中 裕

川口リリア音楽ホール:京浜東北線川口駅下車すぐ
ホームページ:http://www.lilia.or.jp

今年も恒例の定期演奏会の季節となりました。2008年3月15日(土)、場所は例年とは異なり、初めて川口リリア音楽ホールを使わせていただいての演奏会となります。ご来場の際は、どうぞ会場をお間違えのないようにご注意ください。最寄り駅となるJR京浜東北線の川口駅は、埼京線との接続駅である赤羽駅の隣にあります。東京駅・池袋駅・新宿駅のいずれからも交通の便が良く、リリア音楽ホールは川口駅とペデストリアン・デッキで直接結ばれております。しかも会場の響きは折り紙付きのすぐれたもので、音楽関係者からの高い評価を得ております。

今回は演奏会の統一テーマを「第一作法の系譜」と題してお送りします。クラウディオ・モンテヴェルディは、通奏低音とその上に構築される和声を音楽構造の中心に置き、対位法の規則を大きくはみ出した新しい作風を「第二作法」と呼びました。しかし彼は古い声楽対位法様式を軽視したわけでは決してなく、それを「第一作法」と呼んで尊重しました。今回は、彼の「4声のミサ曲」(1651年出版)を演奏致します。モンテヴェルディの作法としては「おとなしい」部類に入るため、初めて聴く方は「これがモンテヴェルディの作品なのか?」と耳を疑うこともよくあるということです。しかし全体を通して聴けば、模倣対位法の中に初期バロックらしいリズムが吹き込まれているのがはっきりとおわかりになると思います。

さらに、モンテヴェルディに学んだハインリヒ・シュッツの代表作「宗教的合唱曲集」と、バッハのオルガン曲の大作「クラヴィーア練習曲集第3巻」から冒頭の大コラール(=キリエ)3曲、そしてバッハと同じ1685年生まれ、ドメニコ・スカルラッティの「マニフィカト」をお聴きいただきます。「第一作法」は形と品を変えながらもしっかりと生き残り、現在に至るまで影響力を保ち続けています。そのバロック時代における系譜を、代表的作曲家の作品によってたどってみようという試みです。どうぞご期待ください。

客演にはおなじみの今井奈緒子さん、高群輝夫さんをお迎えすることができました。川口リリア音楽ホールの素晴らしいオルガンを使用して、今井さんに「クラヴィーア練習曲集第3巻」の大コラールを弾いていただけるのも望外の喜びです。皆様お誘い合わせの上、是非ご来場ください。




◆スコラ・カントールム第18回定期演奏会

2009年3月28日(土) 武蔵野市民文化会館小ホール

開場18:00
開演18:30
チケット価格: 1500円

演奏曲目
オルランドゥス・ラッスス/宗教的マドリガーレ「聖ペテロの涙」全曲
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル/「主は言われた」HWV232

出演
ソプラノ:朴瑛美
ヴァイオリン:桐山建志・大西律子・鍋谷里香・磯田 ひろみ
ヴィオラ:上田美佐子・長岡聡季
チェロ:高群輝夫
コントラバス:櫻井茂
オルガン:今井奈緒子
チェンバロ:水永牧子

合唱:スコラ・カントールム
指揮:野中 裕

今回の演奏会は、ステージ構成を2つに絞りました。前半は、音楽史上のルネサンスを締めくくる大作曲家、オルランドゥス・ラッススの「白鳥の歌」、宗教的マドリガーレ《聖ペテロの涙》全曲を、ア・カペラで演奏致します。この曲のテキストは、タンシッロという詩人が作った大長編詩から採られています。「死んでもあなたのもとを離れません」と言っておきながら、鶏が鳴く前に主を三度も否んだペテロ。その嘆きを、「眼」に焦点を当てて切々と語っていきます。そこから20編を選び、最後にラテン語による「十字架上のキリストの声」を加えて、全21曲からなる大曲に仕上げたのが、死を目前にしたラッススだったのです。名前だけは大変に有名ですが、全曲を実際に演奏会で聴く機会はごく稀です。録音は数種類出ているものの、ア・カペラの合唱による演奏は現在皆無に近い状態です。この曲の特徴である控えめなマドリガリズム、7声の重厚な和声を生かすには、私たちのような少人数の合唱団体による演奏が最も説得力を持つと確信しております。滅多に聴けない名曲の生演奏、ぜひ一人でも多くの方に聴いていただきたくご案内する次第です。

後半は、1997年に演奏して以来11年ぶりの再演となるヘンデルの《主は言われた》です。ヘンデル・ファンに絶大な人気を誇るこの曲は、「合唱協奏曲」とでも言うべき内容を持っております。器楽的な発想に満ちあふれ、かつ人の声にしかできないハーモニーの美しさを生かし切ったヘンデルの天才が如実に感じられます。この曲の客演には当団と共演を重ねてきたおなじみの皆様をお迎えし、皆様のご期待に応えるべく最強の布陣をはることができました。皆様お誘い合わせの上、是非ご来場くださいますようお願い申し上げます。




◆スコラ・カントールム第7回特別演奏会

2009年12月13日(日) 早稲田奉仕園スコットホール
開場 16:30 開演 17:00
全席自由 2000円

[追加公演] 2009年12月20日(日) 清瀬みぎわ教会
開場 18:00 開演 18:30
全席自由 前売2500円・当日3000円

演奏曲目

T ルネサンスのクリスマス・ソング

トマス・ルイス・デ・ビクトリア 《恐れるな、マリアよ》 "Ne timeas Maria"
ホアン・エスキベル 《来たれ主よ、遅れたもうな》 "Veni, Domine"
ジャン・ムートン 《われら羊飼いとともに》"Queramus cum pastoribus"
トマス・ルイス・デ・ビクトリア 《おお、大いなる神秘》 "O magnum mysterium"
ギヨーム・デュファイ 《めでたし、天の女王》 "Ave regina caelorum"

U 今井奈緒子・オルガンステージ

ヨハン・セバスティアン・バッハ
《デュエット第3番 ト長調》 BWV804
《デュエット第4番 イ短調》 BWV805
《パストラーレ へ長調》 BWV590

Vヤン・ピ−ターゾン・スウェーリンクのクリスマス・モテット

《すべての者よ、喜べ》"Gaudete omnes"
《天使は羊飼いたちに言われた》"Angelus ad pastores ait"
「《われらのためにみどりご生まれ》に基づく変奏曲」(オルガン独奏)
《東方より博士たちが》"Ab Oriente"
《半音階的幻想曲》(オルガン独奏)
《喜び祝え、イェルサレムよ》"Gaudete et laetere"
《今日キリストは生まれたもう》"Hodie Christus natus est"

オルガン:今井奈緒子
合唱:スコラ・カントールム
指揮:野中 裕
(楽器提供・調律:石井 賢)

今年は定期演奏会の他に「特別演奏会」として、2回目となる「クリスマス・コンサート」を開催することになりました。同封のチラシにもありますように、2009年12月13日(日)に、普段私たちが練習でお世話になっております、新宿区の早稲田奉仕園スコットホールにて開催されます。第1ステージでは、音楽史上のルネサンスを切り開いたといわれるギヨーム・デュファイ、堅実な作風が光るジャン・ムートン、というフランドル地方出身の作曲家2人の作品を選びました。その中にイベリア半島出身のトマス・ルイス・デ・ビクトリアとホアン・ド・エスキベルのモテトゥスを交えて演奏致します。クリスマスに相応しい名曲を味わっていただくほか、ルネサンスの盛期と後期、あるいは大陸とイベリア半島での作風の違いなどもお楽しみいただけると思います。

第2ステージは、おなじみの今井奈緒子さんのオルガン独奏によるステージです。私たちが最初のクリスマス・コンサートを行ったのは2001年でしたが、この時が当団と今井さんとの初共演でした。その後、ご多忙の身であるにもかかわらず、私たちとの共演を重ねていただいております。今回も石井賢さんがご提供いただくポジティーフ・オルガンを使用して、バッハを中心とするステージをご用意いただく予定です。手鍵盤だけの小さなオルガンから、どのような大宇宙が広がるか、今井さんの円熟の芸術にご期待ください。 第3ステージは、バッハより100年前に活躍したネーデルラントの作曲家、ヤン・ピーターゾン・スウェーリンクを特集致します。1619年に出版された宗教的合唱曲集《カンツィオネス・サクレ》の中に含まれる、クリスマス用のモテトゥス5曲をすべて演奏致します。古い時代の声楽ポリフォニーに基礎を置く彼の作風は、一見すると大変地味ですし、和声的にも奇を衒った表現はありません。しかし自然のまま、素朴なままに主の生誕を歌い上げる屈託のなさ、5曲中4曲に登場する「アレルヤ」の歓喜など、私たちの心に直に届いてくるあたたかな音楽であることは間違いないと思います。今井さんには通奏低音をご担当いただくほか、彼の畢生の名作《半音階的幻想曲》と、クリスマス用のコラールを弾いていただきます。

これと同じ内容のコンサートが1週間後の12月20日(日)に、清瀬みぎわ教会で行われます。チケットのご購入その他詳細は清瀬みぎわ教会に直接お問い合わせください。こちらのコンサートでは教会備え付けのオルガンを使用しますので、13日とはまたひと味違う響きをご堪能いただけると思いますので、是非こちらにも足をお運びください。この清瀬でのコンサートは今井奈緒子さんにご企画いただき、今井さんと清瀬みぎわ教会の皆様の全面的な御協力のもとに実現致しました。この場をお借りして重ねて心から御礼申し上げる次第です。


◆スコラ・カントールム第19回定期演奏会

2010年3月7日(日) 武蔵野市民文化会館小ホール

開場14:30
開演15:00
チケット価格: 3000円

演奏曲目
ヨハン・セバスティアン・バッハ/「ミサ曲ロ短調」BWV232

合唱:スコラ・カントールム
指揮:野中 裕

客演:
ソプラノ:朴瑛実
アルト:穴澤ゆう子
テノール:大貫浩史
バス:小笠原美敬
ヴァイオリン:桐山建志(コンサートマスター)・大西律子・鍋谷里香・原田陽・高橋真二
ヴィオラ:上田美佐子・吉田篤
チェロ:十代田光子
コントラバス:西澤誠治
フルート1:菊池香苗
フルート2:新井道代
オーボエ1:杉本明美
オーボエ2:篠原由桂
オーボエ3:田村次男
ファゴット1:中田小弥香
ファゴット2:江草智子
トランペット1:平井志郎
トランペット2:高丸智子
トランペット3:奥田俊雄
ティンパニ:近藤郁夫
ホルン:下田太郎
オルガン:今井奈緒子

※ヴァイオリンで出演予定の今村直子さんは、都合により高橋真二さんに交替致しました。あらかじめご承知ください。

3月7日に行われる第19回定期演奏会のご案内です。創立20周年を記念し、ヨハン・セバスティアン・バッハの至高の名作、《ミサ曲ロ短調》BWV232に挑みます。会場はいつもの武蔵野市民文化会館小ホールです。
この偉大な作品については今さら何かを語るのも気が引けるほどですが、充実した曲であるだけに、演奏の困難さも想像を絶するものがございます。団員の多くが「いつかは演奏してみたい」と思いながらも、なかなか実際に一歩を踏み出す決心ができずにいた難曲です。演奏会直前まで真摯な努力を積み重ね、20年の集大成のつもりで臨みたいと思います。

《ミサ曲ロ短調》については、すでに多くのことが語られ、その解釈や音楽史上における意義なども様々な観点から解明が進んでおります。しかし、バッハがなぜこのような「ミサ=トータ(カトリック・ミサの通常文すべて)」への作曲を行ったのかは、結局のところよくわかってはいないのです。演奏者はそうした事情を自分なりに研究し、かみ砕き、自分たちなりに構築した「ロ短調像」とでもいうべきイメージをもって演奏に臨まなければなりません。

今回の演奏では、1997年のクリストフ・ヴォルフ校訂、ペータース出版社の楽譜を使用し、忠実にその指示に従うことにします。謎の多いこの曲のことですから、このヴォルフ版にもいくつか疑問の箇所はあるのですが、細かい点では自筆総譜のファクシミリを見てもよくわからないことが多く、自筆総譜そのものを見ることのできる高名な音楽学者でもなければ手に負えない部分がたくさんあります。しかもその理解と解釈はその音楽学者の主観的判断によらなければならないことも多く、息子カール・フィリップ・エマーヌエルの修正と見分けがつかない部分も相当あるということです。演奏者としては、どこかで腹をくくらなくてはならない、というのが偽らざる実感です。そのため全体の区分も、バッハが示し、現代譜が踏襲しているとおりの四区分(ミサ、ニケア信経、サンクトゥス、残余の部分)に従います。

この曲は、合唱団が独り相撲をとってしまっては決して成立しません。合唱と同じ指向性を持つソリスト、技術的難関をクリアーし、バッハに深い造詣を持つ器楽陣が絶対に必要です。私たちを支えてくださる客演の方々には、今回も私たちが絶対の信頼感を置くコンサートマスターの桐山建志さん、通奏低音のオルガニスト今井奈緒子さんが参加してくださいました。また他にも私たちと共演を重ねた大西律子さん・上田美佐子さん・朴瑛実さんをはじめとする皆さん、当団団員の大貫浩史に加え、多くの若手実力者が共演してくださいます。このような素晴らしいメンバーとともに《ミサ曲ロ短調》に挑戦できるとは、20年前にこの合唱団が産声を上げたときには思いもよらなかったことです。一同、全力を尽くして練習に励みます。どうぞご期待ください。


◆国際基督教大学クリスマス演奏会
〜波多野睦美+今井奈緒子+合唱団スコラ・カントールム〜

2010年12月12日(日) 国際基督教大学礼拝堂

開場14:30
開演15:00
チケット価格: 全席自由 2500円

演奏曲目
ヨハン・セバスティアン・バッハ「いざ来れ、異邦人の救い主よ」BWV659(オルガン独奏:今井奈緒子)
ジョヴァンニ・ガブリエリ/「今日キリストがお生まれになった」
ジョヴァンニ・ガブリエリ/「祝福されし処女マリア」
作曲者不詳(ヨハン・クリストフ・バッハ?)/「目を留めよ、わが心よ」
ハインリヒ・シュッツ/「われらのもとにみどりごが生まれた」SWV384(「宗教的合唱曲集(1648)」より)
ヘンリー・パーセル/「夕べの賛歌」
ヨハン・セバスティアン・バッハ/カンタータ第64番「見よ、父のわれらに賜いし愛のいかなるかを」 BWV64(一部省略)
ジョージ・フレデリック・ヘンデル/『メサイア』より「シオンに良い知らせを伝える者よ」

合唱:スコラ・カントールム
メゾソプラノ:波多野睦美
オルガン:今井奈緒子
指揮:野中 裕

チケットのお買い求めにつきましては、ICU宗教音楽センター 0422-33-3330 にお問い合わせいただくか、smc@icu.ac.jpまでメールをお送りください。また、三鷹市芸術文化センターでもお求めいただけます。


◆スコラ・カントールム第20回定期演奏会

2011年2月13日(日) 武蔵野市民文化会館小ホール

開場14:30(予定)
開演15:00(予定)
チケット価格: 2000円(予価)

演奏曲目
アレッサンドロ・スカルラッティ「神を讃えよ」
トマス・ルイス・デ・ビクトリア「アヴェ・マリア」
ヨハン・クーナウ「わが魂は憂いて」
ヨハン・セバスティアン・バッハ「イエスよ、わが喜び」(オルゲル・ビュヒラインより)BWV610*
ヨハン・セバスティアン・バッハコラール・パルティータ「ようこそ、慈悲あつきイエスよ」BWV768*
ヨハン・セバスティアン・バッハ/モテット「イエスよ、わが喜び」BWV227
ドメニコ・スカルラッティ/「スタバート・マーテル(悲しみの聖母)」

*オルガン独奏:今井奈緒子

西澤央子(チェロ)
西澤誠治(コントラバス)
佐藤亜紀子(テオルボ)
今井奈緒子(オルガン)

合唱:スコラ・カントールム
指揮:野中 裕

今回はバッハのモテット「イエスよ、わが喜び」BWV227と、ドメニコ・スカルラッティの「スタバート・マーテル」を演奏会の柱とし、それにまつわる諸曲をご紹介する形でプログラムを組みました。バッハとスカルラッティはともに1685年に生まれた巨匠ですが、その作風には大変な違いがあります。しかし先達から学んだ対位法の技法は両者に共通しております。バッハは5声、スカルラッティは例外的に大きい10声という編成を用いて、見事な音の綾を作り出します。そして彼らの業績に直接繋がる偉大な先例として、ビクトリア、ドメニコの父であるアレッサンドロ・スカルラッティ、そしてバッハの前任のトーマス・カントールであったクーナウの素晴らしいモテットを演奏いたします。
また「イエスよ、わが喜び」は、コラールの種々の編曲と精緻な対位法楽曲の組み合わせからなっていますが、コラール編曲・変奏は、オルガンの分野で大変発達しておりました。この演奏会では、バッハ作曲のコラール・パルティータ(変奏曲)の中で最も壮大な名曲、「ようこそ、慈悲あつきイエスよ」BWV768を、おなじみの今井奈緒子さんの独奏でお聴きいただきます。今井さんの滋味あふれる演奏にもどうぞご期待ください。


◆スコラ・カントールム第21回定期演奏会

2012年3月18日(日) 武蔵野市民文化会館小ホール

開場14:30
開演15:00
チケット価格: 全席自由 2000円

T オルランドゥス・ラッスス「シビラの預言」(全曲)
U オルランドゥス・ラッスス「レクイエム(5声)」
V ヨハン・セバスティアン・バッハ/モテット「主を頌めまつれ、もろもろの異邦人よ」BWV230
   ヨハン・セバスティアン・バッハ/モテット「来ませ、イエスよ、来ませ」BWV229
   ヨハン・セバスティアン・バッハ/モテット「主に向かいて新しき歌をうたえ」BWV225

客演:高群輝夫(チェロ)・櫻井 茂(コントラバス)・今井奈緒子(オルガン)

第19回定期演奏会に引き続き、フランドル楽派の掉尾を飾る偉大な作曲家、オルランドゥス・ラッススの大曲を特集致します。「シビラの預言」「5声のレクイエム」ともに名作の誉れ高い作品でいくつかの録音がありますが、わが国での実演にはなかなか恵まれていません。慎重な討議の結果、今年1年をかけてじっくり取り組むのにふさわしい曲として、演奏会に取り上げることに致しました。後半は一転してバッハのモテットを3曲演奏します。BWV225だけは約10年ぶりの再演ですが、他の2曲は当団初演です。おなじみの客演の皆様のサポートをいただき、充実した演奏になるよう努めたいと思います。


◆スコラ・カントールム第22回定期演奏会

2013年2月11日(月祝) 三鷹市芸術文化センター 風のホール

開場=14:30
開演=15:00
チケット価格=全席自由 2000円

T ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ「ミサ・ブレヴィス」
U ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ/モテット「目覚めよ、と呼ぶ声あり」
V ヨハン・セバスティアン・バッハ/カンタータ「キリストは死の縄目につながれたり」BWV4
  ヨハン・セバスティアン・バッハ/カンタータ「イエスよ、汝わが魂を」BWV78

テノール:大貫浩史
バス:浦野智行
フルート:新井道代
オーボエ:三宮正満・尾崎温子
ヴァイオリン:桐山建志(コンサートマスター)・鍋谷里香・大西律子・原田 陽
ヴィオラ:上田美佐子・天野寿彦
チェロ:西沢央子
コントラバス:櫻井 茂
オルガン:今井奈緒子

合唱:スコラ・カントールム
指揮:野中 裕



当団の演奏会の第T部では、このところ引き続いてオルランドゥス・ラッススの大曲を取り上げてまいりました。それはラッススの書法が現在の当団の人員構成と指向性に最もかなったものであったからですが、今年度は久し振りにラッススと同時代人のもう一人の大家、パレストリ−ナに焦点を当てることに致します。「ミサ・ブレヴィス」は充実した対位法と隙のない和声で構成された、彼の代表作です。設立から23年を経た私たちとしては当然、今までに演奏した形跡があっても良さそうなものですが、意外なことに今回が当団初演です。パレストリーナを30人規模の合唱団が手がけることは、今となっては「時代遅れ」と感じられてしまうかもしれません。しかしこの引き締まった作品を学び、「パレストリーナ様式」とまで言われる「古様式=スティレ・アンティーコ」の極意を音にすることは、私たちにとってかけがえのない経験となるはずです。団員数の多さを逆手にとって、アンサンブルでは味わえない「骨太の音楽」を追究しようと思います。

次に演奏するヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハのモテットは、いわゆる「知られざる名(迷?)作」の範疇に入るものでしょう。私(=野中)がこの曲を知ったのは、輸入楽譜専門店で立ち読みをしていたときに、偶然ワゴン・セールか何かになって売られているのを発見したからです。何とも珍妙な曲の構成に面白さを感じ、つい購入してしまったのですが、その時はまさかそれを実際に自分が音にしてみることになるとは思ってもみませんでした。この曲は同名のコラール旋律をもとにしたモテットですが、その旋律が主和音の分散和音で始まるのを良いことに、ひたすらそれをファンファーレのように鳴らしてみたり、ちょっと古典派めいた和声をもてあそんだり、そうかと思うと親父である大バッハのコラール編曲を勝手に挿入したり、と「やりたい放題」の曲です。その危うい奔放さの魅力を、皆様にお伝えできればと思います。

後半は、ヨハン・セバスティアン・バッハのカンタータ2曲をお届けします。「キリストは死の縄目につながれたり」BWV4と「イエスよ、汝わが魂を」BWV78で、彼の全創作の中でも極めて優れた傑作として知られる珠玉のカンタータです。BWV4はミュールハウゼン時代に書かれたと考えられ、バッハのカンタータの中では唯一「コラール変奏」という古いスタイルを貫いた異端作ですが、それゆえにある程度の人数を持つ合唱での演奏に非常に適したたたずまいを持っております。BWV78はライプツィヒの円熟期に書かれた、いわゆる「コラール・カンタータ」です。コラール旋律が登場するのは冒頭合唱と終結コラールだけですが、とりわけ冒頭合唱で下降4度のテーマによるシャコンヌとコラールが組み合わされ、歌詞の内容が比類のない説得力を持って迫ってくる効果は、筆舌に尽くしがたいものがあります。そして第2曲のソプラノ・アルトの二重唱は、その親しみやすい旋律と明るい曲想によってこのカンタータを特に有名なものにしています。このアリアを当団の女声合唱でお聴きいただくことも、今回BWV78を取り上げる大きな目的です。当団が満を持して臨む名曲のラインナップ、どうぞご期待ください。


◆合唱団スコラ・カントールム 「マタイ受難曲」プレ・コンサート

2014年4月26日(土)

会場:日本聖公会 神田キリスト教会
(JR秋葉原駅電気街口徒歩7分/御茶ノ水駅湯島聖堂口徒歩10分/東京メトロ銀座線末広町駅徒歩2分)

(会場となる「日本聖公会 神田キリスト教会」については、こちらをご覧ください)

開場14:30
開演15:00
入場無料

演奏曲目
ヨハン・セバスティアン・バッハ/「マタイ受難曲」BWV244 抜萃

指揮: 野中 裕
オルガン: 押野見真理
合唱・独唱: 合唱団スコラ・カントールム

演奏曲(ナンバリングは新バッハ全集による)

コラール前奏曲「心より慕いまつるイエスよ」BWV1093(オルガン独奏:押野見真理)

第一部
第1・2・3・4・7・9・10・11・14・15・16・17・18・19・21・24・25・26・28・29a曲

第二部
第30・31・32・33・36・37・38・40・41・43・44・45・46・47・50・53・54・55・58・61・62・63・66・67・68曲

2014年7月6日(日)の《マタイ受難曲》全曲演奏に先立ち、プレ・コンサート(ポジティーフ・オルガンの伴奏による)を開催致します。このコンサートでは、自由詩部分をほぼすべて除くことで純粋な「福音書記事」を追うとともに、コラール−バッハ自身がその挿入場所と曲を選んだといわれています−をすべて演奏することで、その効果の絶大さを肌でつかもうというわけです。聖句に対する解釈や感情の吐露という点では、数々の名アリアもコラール以上の存在意義を持っていますが、それが欠けることで、ピカンダーの台本が持つあの濃厚な場を、逆説的に痛感することにもなりましょう。

当日はこうした実験的な試みについて若干の解説も行います。私たちの活動を御覧いただき、7月の本番に向けて率直で厳しい御意見御感想を頂戴できれば幸いです。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。


◆合唱団スコラ・カントールム第23回定期演奏会

2014年7月6日(日) 会場:上野学園・石橋メモリアルホール(JR上野駅入谷口下車徒歩8分)

(会場となる「上野学園・石橋メモリアルホール」については、こちらをご覧ください)

開場13:30
開演14:00
チケット価格: 4000円

演奏曲目
ヨハン・セバスティアン・バッハ/「マタイ受難曲」BWV244

客演(2014年3月7日最終決定分)

福音史家:谷口洋介
イエス:小原浄二
ソプラノ:朴 瑛実
アルト:穴澤ゆう子
テノール:大貫浩史
バス(ピラト・ペテロ他):浦野智行

ヴァイオリン
桐山建志・大西律子・鍋谷里香・原田陽・長岡聡季・花崎淳生・廣海史帆・高橋真二
ヴィオラ:上田美佐子・天野寿彦・深沢美奈・吉田 篤
フルート/ブロックフレーテ:菊池香苗・新井道代
フルート:斉藤紫都・駒井萌子
オーボエ:三宮正満・尾崎温子・篠原由桂・小野智子
チェロ:西沢央子・高群輝夫

コントラバス/ヴィオラ・ダ・ガンバ:櫻井 茂
コントラバス:永田由貴
ファゴット:永谷陽子・鈴木 禎
オルガン:今井奈緒子・梅干野安未

合唱:スコラ・カントールム
指揮:野中 裕



(おことわり)
当初客演に予定されていましたヴァイオリンの荒木優子さんは、都合により廣海史帆さんに交代致しました。
この演奏会の情報につきましては、今後も随時このホームページにて発表致します。

コントラバスの永田由貴さんの表記が、こちらのミスにより諸所で「由紀」となっておりました。まことに申し訳なく、永田さんをはじめ皆様に心よりお詫び申し上げます。(2014.6.22追記)


◆合唱団スコラ・カントールム第24回定期演奏会

2015年7月18日(土) 会場:武蔵野市民文化会館小ホール(JR中央線三鷹駅下車バスまたは徒歩15分)

(会場となる「武蔵野市民文化会館小ホール」については、こちらをご覧ください)

開場=18:00 開演=18:30
チケット価格=全席自由 2000円

演奏曲目(オール・ア・カペラ・プログラム)

ジョスカン・デ・プレ「深き淵より」
カルロ・ジェズアルド「めでたし、いとも愛しきマリアよ」(5声)
チプリアーノ・デ・ローレ「わが園に下りて」(7声)
オルランドゥス・ラッスス「めでたし、天の女王」(6声)

フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ
「3つの詩篇(2・43・22)」Op.78

モーリス・デュリュフレ
「グレゴリオ聖歌に基づく4つのモテット」op.10

ジョスカン・デ・プレ
ミサ「パンジェ・リングァ」


◆合唱団スコラ・カントールム第25回定期演奏会

2016年7月10日(日) 会場:川口総合文化センター リリア音楽ホール(JR京浜東北線川口駅直結)

(会場となる「川口総合文化センター リリア音楽ホール」については、こちらをご覧ください)

開場=13:30 開演=14:00
チケット価格=全席自由 2,000円

チケットご希望の方はこちらへ

演奏曲目

ハビエル・ブスト「おお、大いなる神秘」
フランシス・プーランク「クリスマスのための4つのモテット」
ヤーコプ・オブレヒト「めでたし女王(サルヴェ・レジーナ)」
ヨハンネス・オケゲム「うるわしき救い主の御母(アルマ・レデンプトリス・マーテル)」
トマ・クレキヨン「めでたきかな、われ」

モーリス・デュリュフレ「レクイエム[オルガン伴奏版]」Op.9

北條加奈(メゾソプラノ)
西久保孝弘(バリトン)
高群輝夫(チェロ)

今井奈緒子(オルガン)

合唱団スコラ・カントールム
指揮:野中 裕



今回のコンセプトは「古楽、時を超えて」です。私たちは創設以来、「古楽合唱団」であることを自認して参りました。このことは今でも変わりませんし、今後も変わることはないでしょう。しかしそれは、レパートリーを必ず古楽に限定するという意味ではありません。メンデルスゾーンとブラームスは明らかにバッハの影響下にあり、フォーレとデュリュフレは古楽復興、とりわけグレゴリオ聖歌の影響のもとに活動していました。

こうした作曲家の名品は、私たちの目指した音楽へのアプローチにぴたりと合致する内容を持っています。時を超えて、15世紀のフランドルと20世紀のフランス・スペインを一挙に繋ぐという今回のプログラムは、奇抜さを狙ったものではなく、ある種必然であると申せましょう。そして何より、これらが団員によって選ばれた、団員の愛する曲たちであることが、私(=野中)にとっては最大の魅力なのです。皆様お誘い合わせの上、ご来場いただければ幸いでございます。


◆Messiah 2016

2016年10月2日(日)  府中の森芸術劇場ウィーンホール

開場=14:30 開演=15:00
チケット価格=全席自由 2,000円

ソプラノ 佐竹由美
アルト  押見朋子
テノール 辻 裕久
バス    久保田真澄

ヴァイオリン(コンサートミストレス) 川原千真
チェロ(コンティヌオ)        田崎瑞博

管弦楽 メサイアシンフォニア
合唱  ヴォチェス・エクスプレセ(合唱指揮:野中 裕)

指揮  佐藤雄一

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル《メサイア》HWV56(全曲)

ヴォチェス・エクスプレセは「Messiah 2016」演奏のために結成されたアマチュア合唱団。当団のメンバーを中心に、1980年代に古楽唱法実践の草分けとして注目を浴びた「コレギウム・ヴォカーレ東京」(佐藤雄一指揮)の元メンバーを加えて構成。佐藤雄一氏の意図する音楽を最も的確に表現できる合唱団を目指し、活動を行っています。


◆国際基督教大学クリスマス演奏会

2016年12月10日(土)  国際基督教大学礼拝堂

開場=14:30  開演=15:00
チケット価格=前売・当日ともに 2,500円 (コンサートメンバー、ICU高校・大学・大学院生500円引き)
全席自由 14:30より会場入口にて当日券を販売
三鷹市芸術文化センターでもお求めいただけます。

ソプラノ 朴 瑛実
アルト  穴澤ゆう子
テノール 大貫浩史
バス   西久保孝弘

ヴァイオリン1 大西律子(コンサートミストレス)
ヴァイオリン2 関口敦子
ヴィオラ    上田美佐子
チェロ     西沢央子
コントラバス  櫻井 茂
オーボエ1   森 綾香
オーボエ2   小野寺彩子
トランペット1 斎藤秀範
トランペット2 村上信吾
ティンパニ   村本寛太郎
オルガン    今井奈緒子

合唱 合唱団スコラ・カントールム
指揮 野中 裕

演奏曲
T 合唱団スコラ・カントールムによる、オール・アカペラのクリスマス合唱曲集
U ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル 「メサイア」第一部(および最終曲)


◆合唱団スコラ・カントールム第26回定期演奏会

2018年2月11日(日祝) 会場:川口総合文化センター リリア音楽ホール(JR京浜東北線川口駅直結)

(会場となる「川口総合文化センター リリア音楽ホール」については、こちらをご覧ください)

開場=18:00 開演=18:30
チケット価格=全席自由 2,000円



演奏曲目

T アントン・ブルックナー
「アヴェ・マリア」
「この場所は」
「正しき者の口は」
「キリストはわれらのために」
「エッサイの枝は花をつけ」

U
チプリアーノ・デ・ローレ
「われらの神を讃えよ」
「主よ、平和を与えたまえ」
「おお、何と深遠なことか」
ジャケス・ド・ヴェルト
「ラーマで声が」
「まことに、まことに汝らに告ぐ」
「しかしてわれ主に望みをかけん」

V
ヨハン・セバスティアン・バッハ 「ミサ曲ト長調」BWV236

テノール 大貫浩史
バス 松井 永太郎

ヴァイオリンT:大西律子(コンサートマスター)、小池吾郎
ヴァイオリンU:高橋真二、関口敦子
ヴィオラ:上田美佐子、春木英恵
オーボエT:森 綾香
オーボエU:小野寺彩子
チェロ:西沢央子
コントラバス:櫻井 茂
オルガン:今井奈緒子

合唱団スコラ・カントールム

指揮:野中 裕

◆合唱団スコラ・カントールム第8回特別演奏会 ヘンデル《メサイア》

2018年10月21日(日) 会場:上野学園・石橋メモリアルホール(JR上野駅入谷口下車徒歩8分)

(会場となる「上野学園・石橋メモリアルホール」については、こちらをご覧ください)

開場14:30
開演15:00
チケット価格: 3000円

演奏曲目
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル/オラトリオ「メサイア」HWV56 全曲

客演

ソプラノ:朴 瑛実
アルト:穴澤 ゆう子
テノール:大貫 浩史・小沼 俊太郎
バス:西久保 孝弘・松井 永太郎

ヴァイオリン:大西 律子(コンサートマスター)・小池 吾郎・高橋 真二・関口 敦子
ヴィオラ:上田 美佐子・春木 英恵
オーボエ1:森 綾香
オーボエ2:小野 智子
コントラバス:櫻井 茂
トランペット1:斎藤 秀範
トランペット2:永井 友貴
ティンパニ:久保 創
オルガン:今井 奈緒子
チェンバロ:平野 智美

合唱:スコラ・カントールム
指揮:野中 裕


1990年に設立された合唱団スコラ・カントールムは、本年をもって創立29年目を迎えました。2020年には、当団の歴史もついに満30年を迎えることになります。この経験を踏まえ、私たちはヘンデルの《メサイア》全曲演奏に挑むことになりました。開催日時は2018年10月21日(日曜日)の15時(終演は18時の予定)、会場は2014年の《マタイ受難曲》と同じく「上野学園 石橋メモリアルホール」を使用させていただく幸いに恵まれました。

あまりにも人口に膾炙したこの作品については、今さらこの紙面で駄弁を弄する必要はないと存じます。私たちは2016年秋に佐藤雄一氏の指揮・指導による「ヴォチェス・エクスプレセ」に参加しての全曲演奏、同年末の「国際基督教大学クリスマス・コンサート」では第一部の演奏を行いました。その蓄積の上に立ち、万全の準備をもって「スコラ・カントールム」として初の全曲演奏に臨みます。

今年はバッハ・ヘンデル・D.スカルラッティの生誕333年目にあたっており、音楽学者の三ヶ尻正さんの発案で「333HBS」という記念企画演奏が各種催されております。私たちの演奏会もこの企画の一つに数えられるという光栄に浴したばかりか、発音指導、対訳の監修等、あらゆる面においてヘンデル研究の専門家でいらしゃる三ヶ尻さんの全面的なバックアップをいただくことができました。いつも御協力をいただいているお馴染みの客演の皆様との共演も叶い、私たちの今考え得る、ベストの《メサイア》を御披露できることを確信しております。



  ■チケットのお申し込みはこちらからどうぞ。





トップページに戻る